和歌山県みなべ町山内の千里の浜で、アカウミガメの産卵場所のほとんどが台風5号で高波をかぶった。卵を保護するためのステンレス製の籠も多数流され、50個がなくなるなど被害の実態が明らかになってきた。浸水の程度によっては、卵が死んでしまっている可能性もある。町教育委員会は「近年、台風によるここまでの被害はなかった」と話している。

 浜では毎年、5月から8月ごろにかけて、アカウミガメが上陸、産卵する。今シーズは台風上陸前までに、122回の産卵があった。

 NPO日本ウミガメ協議会や地元のみなべウミガメ研究班、青年クラブみなべが調査・保護活動をし、ライオン大阪工場(堺市)はタヌキに卵が荒らされるのを防ぐため、ステンレス製の籠を提供し、設置するボランティア活動もしている。

 台風5号は7日に紀伊半島に上陸し、満潮時は浜の奥まで波が打ち寄せた。関係者によると、卵は長い時間水に漬かると死んでしまうという。ウミガメは深さ50〜60センチの穴を掘って卵を産んでいるが、砂が流されて、卵が露出した場所もあった。籠は食害を完全に防ぐため、卵を覆って砂に埋まるように設置しているが、高波に流された。

 産卵場所のほとんどに籠を設置していたが、協議会の派遣で調査活動に携わっている学生が確認したところ、10日昼現在、設置した元の場所にとどまっていた籠は38個だけ。波に流されていたのを20個見つけた。元の場所から1キロほど離れた所で見つけたものや、押しつぶされていたのもあった。

 50個は海に流されたのか、砂に埋没しているのか行方不明だという。