肺が線維化し、呼吸困難に陥る「突発性肺線維症」について、和歌山県立医科大学(和歌山市)法医学講座の近藤稔和教授が7日、金沢大学との共同研究で、発症の仕組みが分かったと発表した。詳しい原因が不明で、有効な治療法がない病気だが、近藤教授は「主に関わる二つの細胞の動きを一つの薬剤で抑えられる、新たな治療戦略の可能性を見いだせた」としている。

 近藤教授が県立医科大学で記者発表した。この病気は一度発症すると、治療が困難で突然死することもある。原因はウイルス感染や粉じん、膠原(こうげん)病、薬剤の影響などとされるが、詳しい原因は分かっていないという。10万人当たり6〜10人程度の発症率だが、50代以上の男性に多いとされる。

 健康な場合は、肺を構成する肺胞の壁(間質)が傷ついたとき、コラーゲンという線維で正常に戻される。しかし、この病気になると、修復作業が止まらず、過剰なコラーゲンによって間質が厚くなり、酸素の取り込みが困難になるという。

 修復には主に、コラーゲンを作るよう促す「M2マクロファージ」と、コラーゲンを作るのに関わる「ファイブロサイト」の二つの細胞が関係。いずれも、骨髄中にあるが、間質が傷つけば、肺から指令を受け、血流に乗って肺の修復に向かう。

 近藤教授らは、肺からの指令を受ける同じ物質(受容体)が、両細胞に共通して現れることを発見。受容体の遺伝子を欠損させ、指令を受けられないようにしたマウスを肺線維症にさせた実験では、肺に至ったファイブロサイトは3分の1〜4分の1、M2マクロファージは10分の1まで減り、病気が軽減したことを確認したという。