林業・木材製造業労働災害防止協会和歌山県支部と県はこのほど、田辺市の紀南文化会館で「林業労働災害防止のための緊急研修会」を開いた。ウッズマンワークショップ代表の水野雅夫さん(岐阜県)が基調講演し、高度な安全対策をするためにも「当たり前のことが一つ一つできるようにならないといけない」と強調した。
 労働災害の発生率が高止まりしていることから、同協会が全国各地で開いている。県内の森林組合、民間事業体、市町村、県などから約130人が参加した。
 水野さんは講演で「林業労働災害は長期的には減っているとされるが、従事者が減っているからだ。発生率は増えている」と指摘。また、和歌山県内での発生率は北海道の2・56%、栃木県の2・76%に対し7・25%と高く、14人に1人がけがをしていると説明した。
 さらに、和歌山県内の2018年の労働災害48件のうち、就業年数5年以内の人が4割を占めているとし「人を育てていない。きちんと教育も訓練もしないで伐木という危険な作業をさせた結果だ」と分析。和歌山県の林業は危機的な状況にあると警鐘を鳴らした。
 その上でチェーンソーパンツを例に挙げ「ベテランは、そんなものなくても大丈夫だという思いがあったと思う。先輩がしないと後輩はしない」と話し、新人をどう守るかを考えてほしいと訴えた。また、スピードや生産量より安全と述べ「今までの当たり前を疑い、本当にそうかと考えてほしい」と呼び掛けた。
 全国の業種別労災の現状では林業は、1年間の労働者千人当たりに発生した死傷者の割合が16年は全産業が2・2、製造業2・7、建設業4・5に対し31・2と高い。
 ウッズマンワークショップは、林業など森林内での活動を通して森林環境の保全などに取り組んでいる。
 研修会は水野さんのほか同協会安全管理士の大野孝典さんが「林業労働災害の状況と事業者責任について」、県森林整備課の東彰則課長補佐が「県発注の森林整備事業において事業者に求めている要件について」の演題で話した。