和歌山県は、県内での洋上風力発電事業について、事業ができる可能性の検討に適した海域と、慎重となるべき海域を示した地図「ゾーニングマップ」(案)を公表した。由良町から串本町までの沖を対象に調査。課題などを整理し「報告書案」にまとめ、県民から意見を募集している。
 県は長期総合計画(2017〜26年度)で「再エネ先進県」を目指すとし、県内消費電力に占める再生可能エネルギーの比率を2015年度の18%から、26年度には25%にしたいとしている。
 県は環境省の委託事業として、18年度から本年度にかけ、御坊・日高、田辺・西牟婁と串本町の沿岸海域を対象に調べた。
 調査では、海岸線に沿っている世界遺産大辺路や吉野熊野国立公園などからの景観や、鳥類などが発電施設に接触する可能性、漁業や船舶の航行、南紀白浜空港に離着陸する航空機への影響、ダイビングや釣りといった観光業への影響、騒音などを調べた。
 文献や現地での調査、関係者への聞き取りをし、有識者を委員とする「県洋上風力発電に係るゾーニング検討会」を設置して意見を聞くなどした。
 その上で、法律で開発が規制されたり環境や人間活動に重大な影響が心配されたりする「保全エリア」、国のガイドラインなどで保全が推奨されている「保全推奨エリア」、比較的課題が少なく今後社会性や事業性を踏まえて事業の可能性が検討できる「調整エリア」に区分した。
 「調整エリア」のうち、技術やコスト面で比較的採算が取れやすいとされる水深200メートル以浅の場所は、御坊市―印南町沖5〜30キロの面積285・6平方キロ。水深201メートル以深の場所は、白浜町―串本町沖10〜30キロの面積1279・3平方キロ。
 県は、今回公表した報告書案について県民から意見を聞いて検討会を開き、本年度中に報告書を策定する。
 県によると、県内の海域では風の状況が非常に良く、積極的な導入が期待されている一方、さまざまな環境やほかの事業への影響への心配の声もあり、慎重に進める必要があるとしている。すでに御坊市・美浜町・日高町沖の1カ所で計画されているほか、事業者から打診があるという。
 県は、今回のゾーニングの公表について、洋上風力発電の課題を県民や事業者に情報提供する趣旨のもので、事業実施の保障や規制をするものではないとしている。事業を計画する場合は、法令に基づき、環境影響評価や、地元関係者らの同意が必要になるという。
■県民の意見募集
 県は25日まで、県民から意見を募集している。資料は、西牟婁、東牟婁、日高などの振興局企画産業課などで閲覧できる。県ホームページ内の産業技術政策課のページでも可能。
 意見は郵送やファクス、電子メールで県産業技術政策課へ。問い合わせは同課(073・441・2354)へ。