和歌山県の古座川を舞台に毎年7月下旬に営まれる「河内祭(こうちまつり)」が、コロナ禍の影響で2年連続して神事のみとなる中、古座川町高池下部地区の青年会「芳流館互盟社」が技術の継承を目的として自主的に稽古に励んでいる。毎週月・金曜の夜に有志が集まり、感染予防に努めながら獅子舞や笛、太鼓を稽古。地区にある木造の洋館から祭りばやしが流れており、互盟社の中谷正博社長(46)は「地域の方に祭りの雰囲気だけでも感じていただけたら」と話している。
 河内祭は、古座川の河口から約3キロ上流にある河内島をご神体として祭る5地区(串本町古座、同町古田、古座川町高池下部、同町宇津木、同町月野瀬)の例祭。華麗な装飾を施した御舟(みふね)の水上渡御や古座中学校の生徒による櫂伝馬競漕(かいてんまきょうそう)、勇壮な獅子舞の奉納などがある。
 獅子舞は3地区が奉納しており、互盟社はそのうちの一つ。例年は河内祭の1カ月ほど前から平日は毎晩、同町高池の県道沿いにある木造の洋館に社員らが集まって稽古を重ねている。
 互盟社では、昨年に続いて今年も河内祭を神事のみとすることが決まる中、社員の中から「技術を忘れないよう稽古だけでもできないか」という声が上がり、手指消毒やマスクの着用、基本的に獅子頭はかぶらないといった感染予防に努めながら、自由参加で稽古を始めることを決めた。
 月〜金曜に設けた自主稽古は今月2日からスタート。午後7時半から9時ごろまで行っており、毎回10人ほどが集まって稽古に励んでいる。
 3年前から獅子舞に取り組んでいるという宮本峻平さん(26)は、9日に自主稽古に初参加し、笛や太鼓の音色に合わせて獅子舞の動きを確認。「今年はないけど、また舞わせる日のためにと思って参加した。音に合わせるのは久々で、難しくていっぱいいっぱい。これからも来たい」と笑顔を見せた。
 中谷社長は「このままだと、せっかく覚えだした若い子も一からに戻ってしまうので、それを防ぎたいとの思いから自主稽古を始めた。夏祭りの時季になっても笛や太鼓の音色が聞こえないのは寂しいという気持ちもあり、地域の方に音を聞いてもらうだけでも意味があるのではないか」と話していた。
 今年の河内祭では24、25日に神事のみを営むが、互盟社の自主稽古は30日まで続ける予定という。