和歌山県の白浜町と田辺市を舞台にした現代アートの芸術祭「紀南アートウイーク」の実行委員会は8日、来月の開催に向け、出展アーティストを発表した。カンヌ映画祭で最高賞を受賞したアピチャッポン・ウィーラセタクン監督(タイ)ら、世界的に注目されるアジアのトップ級から新進気鋭の若手、和歌山にゆかりの芸術家の作品が集う。
 芸術祭は11月18〜28日、白浜町の南紀白浜空港やアドベンチャーワールド、田辺市の高山寺や南方熊楠顕彰館など8会場で、映像作品を中心に15人の16作品を展示する。
 この日、展示会場の一つでもある白浜町の川久ミュージアムで会見があり、芸術監督の宮津大輔さん(横浜美術大学長)が、アーティストを1人ずつ紹介した。
 芸術祭は紀南特有の「籠(こ)もりの文化」「港の文化」という一見、相反する二つの文化に着目。高山寺に展示するウィーラセタクン監督の作品は、それを最も体現したものになるという。
 南紀白浜空港では、現代音楽の一柳慧さんの作品を展示する。一柳さんが手掛ける楽曲は、作曲や演奏時に何らかの不確定性がある。会場では五線譜とは異なる図像楽譜も展示する。
 アドベンチャーワールドでは、芸術と科学の境界にある新しい芸術活動である「バイオアート」などを手掛ける長谷川愛さんが、イルカを使った映像作品を展示する。
 地元ゆかりの新進気鋭のアーティストも起用する。地元ならではの視点での表現を期待しているという。その一人、田辺市出身の前田耕平さんは、南方熊楠の哲学思想などをテーマにした作品がある。
 宮津さんは「まちの特別な場所でアートを鑑賞することで、紀南の魅力を再発見したり、自身の生き方を考えるヒントにしてもらえたりすればうれしい。場所と作品による化学反応に期待している。感じ方はそれぞれ。まずは難しく考えず、足を運んでほしい」と呼び掛けた。
 実行委員長の藪本雄登さんは「アート、文化を世界に輸出することが世界平和につながる。芸術祭は10年計画。アートを展示するだけでなく、セッションやワークショップも交え、地元に根差したものにしたい」と話している。