和歌山県白浜町の南方熊楠記念館は、熊楠が昭和天皇に進講した時に着用したフロックコートを修復する。4日、元興寺文化財研究所(奈良市)の文化財調査修復研究グループが同館を訪れ、傷み具合などを確認して搬出した。完成は本年度末を目指す。
 フロックコートは南方熊楠がイギリス滞在中に現地で仕立てたもので、1929年6月1日、昭和天皇が行幸で白浜を訪れた際、田辺湾の生物の説明などの時に着用した。
 研究グループのリーダー、金山正子さんによると、長期間マネキンに掛けて展示していたため、加重のかかる肩部分の縫い目にほつれが見られるという。元々黒色だった生地は緑色に変色し、裏地もすり切れている。
 金山さんは「文化財の修復はやり過ぎず、元を残すというのが原則。展示し続けるため、傷みにくいように修復したい」と語り、長期保管できるような生地を選んだり、和紙を使うなどして補強していくという。
 費用は約120万円。同館は9月1日〜10月29日、収蔵品の修復のためクラウドファンディングで寄付を募り、全国の410人から約1834万円が集まった。今回の修復にもこの支援金を充てるという。
 高垣誠館長は「コートの修復は長年の願いだった。クラウドファンディングでたくさんの方が支援してくださってほっとしたと同時に感謝している。コートの修復後を楽しみにしたい」と話している。