和歌山県串本町サンゴ台のくしもと町立病院は7月1日から、要介護者に対して長期療養のための医療と日常生活上の支援を一体的に提供する「介護医療院」を開設する。自治体が運営する病院では県内初。院内に10床を確保し、治療を終えた高齢者と介護を切れ目なくつなぐことで、安心して過ごせる生活の場となることを目指す。

 介護医療院は2018年度に創設された介護保険施設。県内の事業所は現在、玉置病院(田辺市上屋敷2丁目)や白浜はまゆう病院(白浜町)、串本有田病院(串本町有田)など7件あり、くしもと町立病院が8件目。重篤な身体疾患を有する人や身体合併症を有する認知症の高齢者に対応する「Ⅰ型」という。
 同病院では今回、療養病床40床のうち16床を廃止し、2人部屋4室と個室2室の計10床を介護医療院に転換。入所できるのは当面は町民が対象で、開設時から満床の見込み。医師らが配置されているため、たんの吸引やチューブを使う経管栄養といった医療ニーズの高い要介護者にも対応でき、人生の最終段階におけるケア(みとり)を支える役割も担う。
 病床はパーティションなどで仕切られ、利用者のプライバシーに配慮。レクリエーションも積極的に行う。介護に携わる人の健康も守るため、福祉用具などを活用し身体的に負担のある作業を見直した「ノーリフティングケア」に取り組むという。
 町立病院は28日、介護医療院の開設を前に記者会見を開き、阪本繁院長と竹村司病院事業管理者が施設の概要などについて説明した。
 阪本院長は、少子高齢化が進み、高齢者の独り暮らしや老老介護、認知症の人が増えている地域の現状を指摘。「病気で入院するが、治っていざ帰るという時に足腰が弱ったり、認知症が進んだりして元の生活に戻れない患者さんが多くいる。受け入れ先として他の介護施設を当たるがなかなか十分ではなく、療養病棟もいつまでも入院できるわけではないので、介護医療院を開設した。当初は10床だが、少しでもお役に立てればと思う」と話した。
 医療と介護の連携を目指し、自身も今年5月に介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得したという竹村病院事業管理者は「串本町ではこの10年で介護するヘルパーが30%減る半面、高齢化率は46%と高くなっており、介護破綻が起こってしまうのではないかという危機感がある。医療が終わって在宅に帰っても、支援が少ないためまた悪化して再入院するパターンが多い。病院がもっともっと介護に参入しないと住民の安心した生活が支えられない。この地域のニーズに応じた介護医療院としての機能を重視しながら運営していきたい」と述べた。