和歌山県上富田町岩田の元小学校教諭、宮本昇さん(72)は27日、太平洋戦争中に出版されたグラフ雑誌22冊を上富田町教育委員会に寄贈した。雑誌は同町朝来の郷土資料館に展示される予定で、宮本さんは「戦争や平和について子どもたちが自分で考え、理解を深める学習に役立ててほしい」と話している。

 雑誌は、太平洋戦争中の1942(昭和17)年と43(同18)年に「東洋文化協會」が発行した「画報躍進之日本」。当時の国際情勢や旧日本軍による戦果などを写真とともに報じている。昨年、宮本さんの親族宅で見つかったものを「誰にでも読んでもらえるようにしたい」と譲り受け、町教委に寄贈することにした。
 雑誌には、軍国主義に傾く当時の世相が反映されている。例えば、学徒出陣の壮行会で東条英機首相が若者を激励する様子や、戦力増強のため家庭での米や電気、衣類の節約を呼びかける記事などを掲載。インドネシアやフィリピン、ビルマ(現ミャンマー)などでの占領や統治の様子、ソロモン海戦(1942年)で米国が勝利のデマを流しているとする記事も載せている。
 27日、宮本さんは町教委事務局がある上富田文化会館を訪れて寄贈した。歴史的資料の研究や保存、資料館の展示に協力している「上富田文化の会」の岩橋幸大会長(73)と、町教委で文化財などを担当している大谷逸人さん(66)が寄贈に立ち会った。
 宮本さんは「日本が戦争に突き進んだ当時の様子を知ることができる貴重な資料。今、ロシアによるウクライナ侵攻も問題となっている。授業で活用できるよう、学校への貸し出しもできるようにしてほしい」と話した。
 岩橋会長は「子どもたちの学習や歴史の研究などさまざまな形で活用できる。戦争を賛美する内容をそのまま伝えるのではなく、戦争中の生活や悲惨な部分、東南アジアを侵略していった事実も合わせて捉えてもらい、平和の大切さを学んでもらえるようにしていきたい」と語った。
 宮本さんは戦時中の雑誌に加えて、同様に親族宅で見つかった大正時代のグラフ雑誌も町教委に寄贈した。当時の主要な出来事や風景、文化、海外のニュースなどを写真とともに紹介する内容で、戦時中の雑誌と同様に郷土資料館で展示される。