和歌山県田辺市龍神村安井の龍神中学校は、夏休み中の登校日を利用して平和学習をしている。5日には安井の龍神市民センターで1年生18人が、龍神村の山中に墜落した米軍の爆撃機B29に関するドキュメンタリー映画「轟音(ごうおん)」を視聴し、平和と命の大切さについて学んだ。

 「轟音」は、B29の墜落や慰霊祭、地元住民へのインタビューに加えて、墜落の史実を調査してきた龍神村殿原の郷土史家、古久保健さん(84)の活動などを記録した映画。太平洋戦争末期の1945年5月5日、B29が殿原の山中に墜落。搭乗していた11人のうち7人が死亡し、4人がパラシュートで脱出した。その後、地元の住民らが死亡した搭乗兵の供養をし、毎年5月5日に慰霊祭を営んでいる。
 映画では、生き残った搭乗兵に地元の人たちが白米のおにぎりを提供したこと、木製の卒塔婆を立てて1カ月後に住民らで供養をしたことなどを、当時の様子を振り返る住民の証言映像を交えて伝えている。古久保さんが、父が戦死した中国を訪れたことがきっかけで、同じ戦死者の遺族として亡くなった搭乗兵の遺族を捜し、当時の出来事や慰霊について伝えようと活動を始めたことも紹介。多くの人の協力を得て遺族を捜し当て、アメリカ・フロリダ州に住む遺族の女性を訪ねた際の様子も記録している。
 上映後、古久保さんは生徒たちに「平和であれば、好きなように生きられる。だから、戦争だけはしてはいけない。将来、有権者の一人として、平和を守るということを生涯の目的にしてもらえたらありがたい」と呼びかけた。
 1年生の廣岡芭菜さん(13)は「戦争がきっかけで、たくさんの方がつらい思いをしていたことが印象に残っている。戦争では多くの人が亡くなったり、家を失ったりする。平和の大切さがよく分かった」と話した。
 龍神中では学年別で平和学習をしており、2年生は原爆投下のあった広島県、3年生は沖縄県について学んだ。