JR西日本は10月1日から、和歌山県内を通る紀勢線白浜―新宮間の特急「くろしお」に、自転車を解体せずに持ち込める新サービス「くろしおサイクル」を始める。定期運行の特急では同社初の取り組みで、全国的にも珍しいという。

 和歌山支社の松田彰久副支社長が発表した。対象は白浜―新宮間を運行する全ての「くろしお」(1日5〜6往復)で、年末年始などの最繁忙期は除く可能性があるが、原則として毎日利用できる。この区間のうち、駅員がいる白浜、串本、紀伊勝浦、新宮の4駅で乗降できる。
 利用者は、事前に「くろしおサイクル」の指定席特急券を購入。改札口で専用の自転車カバー、ゴム、ウエス(自転車の汚れを拭き取る布)を無料で借り、ホームのカバー着脱スペースで、座席を汚さないためにカバーを装着したり、汚れを拭いたりする。
 乗車できるのは専用車両の6号車(1号車に変更の場合もある)で、1人分の料金で、通路を挟んで1列4席を利用できる。座席に自転車を立てかけてゴムで固定する。降車後はカバー、ゴム、ウエスを返却する。
 白浜より北の駅を利用する場合は、他の列車同様、解体したり折り畳んだりして専用の袋に入れなければならない。「くろしおサイクル」の利用可能区間の延長は、10月からの利用状況や安全性、一般利用客への影響などを踏まえて検討したいという。
 同社は昨年9月から、予約や追加料金なしで、普通列車に自転車を解体せずに持ち込める「きのくに線サイクルトレイン」を紀伊田辺―新宮間で開始。今年4月には御坊―新宮間に延長した。全国でも珍しいサービスとして評判になり、これまで1年間で約6千人が利用した。
 利用者から「利用できる電車の本数を増やしてほしい」「特急でも使えるとうれしい」といった声があったことから、利便性を向上させようと今回の企画を決めた。白浜―新宮間の乗車率が低いことから、空席の有効利用の狙いもあるという。
 松田副支社長は「特急の白浜―新宮間は普通電車に比べ、30分程度早くなる場合もあるので、利用しやすくなる。これまでよりも和歌山に行ってみようという方が増えるのではないかと期待している」と話した。
 仁坂吉伸知事は定例記者会見で、新しい取り組みについて「JRから提案があった。非常にありがたい。サイクリストにどんどんPRしたい」と話した。
 問い合わせはJR西日本お客様センター(0570・00・2486)へ。