和歌山県工業技術センター(和歌山市)は、人にはほとんど見えない「近赤外光」を、目に見える「可視光」に、世界最高レベルの効率で変換するフィルムを、日東電工(大阪市)と共同開発した。太陽電池の発電効率の向上が目指せるといい、実用化に向けて研究を継続していく。

 センターは2016年度に光のエネルギーを変換できる技術の研究を開始。この技術は、それまで液体や結晶の素材を利用する必要があり、実用化が困難だったが、空気中でも可能にできるフィルムを開発し、19年に発表した。
 これをきっかけに、複数の企業から問い合わせがあった。このうち光学フィルム製造などを手がける日東電工と共同で、フィルムの作製方法を研究してきた。その結果、近赤外光を、世界最高レベルの3・7%の効率で可視光に変換するフィルムの開発に成功した。同様の機能があるフィルムは世界で開発されているが、変換効率は2%程度にとどまっているという。
 今後も改良を進める必要があるが、将来的には例えば、このフィルムを太陽電池の底面に貼り付けることで、発電効率の向上が見込めるという。太陽電池のうち「ペロブスカイト」という素材を使ったタイプでは、ほぼ可視光しか発電しないが、このフィルムを使えば、近赤外光も可視光に変換できるため利用できる。
 センターと日東電工は15日、東京都で開かれた高分子学会のポリマー材料フォーラムで研究成果を発表した。