都市部の大手企業社員が、和歌山県田辺市の若手経営者らと社会課題を解決するビジネスづくりに取り組むプロジェクトが始まった。企業側は次世代リーダーの育成、市側は課題解決の助っ人を期待している。越境タッグで、互いに新たな可能性の「発見」を目指す。

 日本能率協会マネジメントセンター(東京都)が主催する人材育成事業「ことこらぼ」で、10月から来年3月まで全7回。大手企業7社から10人、市内からは農業会社「日向屋」(上芳養)とまちづくり会社「南紀みらい」(湊)が参加している。協働で事業計画を立案し、最終回で発表する。
 11月中旬に3回目の研修に当たる2泊3日の現地実習があり、10人は市の人材育成事業「たなべ未来創造塾」修了生から地域ビジネスについて学んだり、梅畑や市街地の施設を視察したりした。その後、協働する地元2社とビジネスづくりの方向性を話し合った。
 南紀みらいを担当するJR西日本和歌山支社の高橋貴之さん(48)は「鉄道と沿線地域の活性化は関係が深い。地域に入って何ができるか、いろいろな人と触れ合う中で成長できればいい」と参加した。
 南紀みらいがJR紀伊田辺駅前で運営する「田辺エンプラス」を視察し、「旅行者だけでなく、地元に向けて地域の魅力を発信しているのが印象的。定住人口の増加にもつながるようなお手伝いがしたい」とイメージを膨らませた。
 不動産事業などを手がける東急(東京都)の楠山桃さん(27)は「都市開発を担当しているが、地方創生に関心がある。まちづくりに関われるのが魅力で参加した。田辺市は名前も知らなかったが、出会う人皆から地域への誇りを感じ、私もすっかり引き込まれた」と話す。
 「建築士としてハードの建設に携わっているが、完成後の運営は未経験。田辺エンプラスをどのように活用できるかという挑戦の機会をもらった。学ぶだけでなく、少しでも力になりたい」と意気込んでいる。
 南紀みらいの長戸千紘さん(29)は「(田辺市の)中にいると気付かない地域や産品の魅力があると思う。新しい見せ方や販路をつくるきっかけになればいい」と期待している。