和歌山県串本町は、老朽化した町図書館(串本町串本)を来年秋に町地域保健福祉センター(同町串本)1階に仮移転した後、高台に本移転する計画だ。町民からは町の文化、教養の中心施設として町民に喜ばれる施設にしてもらいたいと期待が高まっている。
 町教育委員会によると、町地域保健福祉センターに仮移転するための改修工事は来年4月から始める計画。現在の図書館は来年10月から解体し、更地にして土地所有者に返還する予定になっている。
 町教育長の諮問機関、町図書館協議会(尾鼻悟委員長、10人)は、現在の図書館がある土地は、南海トラフ地震で津波が来襲すると想定されていることから、高台に移転するよう2009年に答申を提出していたが、高速道路整備や町役場、こども園、統合小学校の建設と大きな事業が重なり、財政が厳しいことから、仮移転することになった。
 現在の図書館の土地は借地で、土地所有者と来年12月末までに更地にして返還する契約を結んでいることから、町教委は協議会と仮移転地について話し合い、旧養春小学校空き教室、旧西向保育所なども候補地として検討したが、立地条件、移転費用、安全性などを考慮し、町地域保健福祉センターに決めた。
 協議会は、仮移転地も南海トラフ地震の被害を免れる場所でないことから、一日も早くアクセスの良い高台に建設するよう要望している。
 串本小学校の隣にある現図書館は木造1階建て築65年。元は1954年に完成した保育所だった。蔵書数は4万7604冊(2018年3月末現在)、登録者数は744人(同)。利用者数は18年度が2294人、17年度が2510人、16年度が2980人。館内で読み聞かせ会を開いているほか、自動車文庫を町内各地区に運行させている。運営は任期付職員の池田三明館長(67)と臨時職員4人の5人体制で、うち3人が司書の資格を持っている。
 町教委は、本移転する場所や時期はまだ決まっておらず、財政を見ながら計画的に建設すると話している。田嶋勝正町長は町議会で「図書館整備は重要課題と捉えている。今後も町教委とともに住民の期待に応えられる図書館を目指し、検討を重ねる」と述べた。
 池田館長は「図書館は地域の文化、教養の中心となる施設で、本を貸し出すだけでなく、町の貴重な資料をたくさん保管している。赤ちゃんからお年寄りまで安心して集い、交流できる施設になってもらいたい」と期待した。