和歌山県田辺市は同市中辺路町内を運行している住民バスの全路線中、交通量が多い国道311号沿いなどを除いた区間では、停留所でなくても乗り降りできるようにする。市が4日、中辺路町栗栖川の中辺路コミュニティセンターで開いた地域公共交通会議で方針を承認。利便性を高めて利用者増につなげる狙いで、3月1日から運用を始める予定。
 市企画広報課によると、住民バスは公共交通の空白地で住民の移動手段を確保することを目的に、市が旧町村部で運行。中辺路町内では現在6路線が八つのルートで運行しているが、2018年度の乗車人数は982人で、08年度(1794人)と比べて半数近くまで減っている。
 このため市は、自力での移動手段を持たないと思われる75歳以上の沿線住民を対象に聞き取り調査や住民バス利用者へのアンケートに取り組んだ。
 その結果から「自宅付近からの乗車を求めるという声が多く寄せられている現状がある。住民バスの運行内容を拡充させることで利便性を向上させたい」と判断。西谷線(火・金曜日に3往復運行)と水上線(月・木曜日に3往復運行)について既存のルートを維持した上で予約に応じてルートを延長する「迂回(うかい)運行」をすることや、全路線で自由乗降ができる区間を設けるとの方針を決めた。
 自由乗降ができる区間は、国道311号の沿線や交差点周辺、曲がり角など危険な場所を除いた所で、市の住民バスとしては初めての取り組みという。
 市地域公共交通会議の会長を務める早田斉企画部長は「高齢化が進む中で、停留所まで行くことが厳しい状況になってバス離れが出てきている。対策によって少しでも利便性を高め、利用者を増やしたい」と話している。