和歌山県田辺・西牟婁で栽培される温州ミカンの2019年度産の収穫量は少なく、全国の市場での価格も低調だった。高品質のミカンが少なかったことが低調の主な要因とされる。農家は一定の評価があった高品質のミカンづくりを産地を挙げて取り組みたいという。
 JA紀南の営農指導課によると、19年度の収穫量は8981トンで、13〜18年度の平均(9908トン)より千トン近く少なく、過去10年間で最少だった17年度(8905トン)とほぼ同数だった。要因は、開花の後に雨が少なく乾燥した上、7月の日照不足により生理落果が多かったからだという。
 そのうち同JAを通じての出荷量は4942トンで、過去10年間では17年度(4359トン)、10年度(4849トン)に続いて少なかった。
 販売課によると、その少なさにもかかわらず、1キロ当たりの市場価格は平均で234円となり、17年度より51円安く、18年度と比較しても13円安かった。販売に力を入れる糖度が高い「木熟みかん」も価格は301円で、17年度より88円、18年度より17円安かった。
 16〜18年度は高値で推移し、とりわけ17年度は味が良い上、不作もあって最高値だったことから、大幅に差が開いた。
 販売課は「17年度は糖度が高く高品質のミカンが多かったが、19年度はそれが少なかったのが影響したのでは」と指摘。その上で、増税や暖冬によりミカンの需要が伸びなかったことも要因に挙げた。
 ただ糖度が高いなど高品質のミカンは、これまで通り評価は高く、一定の高い価格となったという。
 JA紀南みかん部会長の前田泰輔さん(47)=上富田町岡=は「収穫量が少なかったのは残念だが、いい物は評価をもらえていたので良かった。これからも産地を挙げて味の良いミカンを作っていきたい。きちっと数量も確保できればと思う」と話している。
■県全体は前年度上回る 収穫量、16年連続全国一
 一方、県内全体では、19年度産温州ミカンの収穫量が表年に当たる前年度を上回る15万6600トンとなり、16年連続で全国1位となった。全国74万6700トンの21%を占める。近畿農政局が発表した。
 ミカンは豊作傾向となる表年と、不作傾向となる裏年を繰り返す特徴がある。19年度は裏年に当たるが、同じ裏年の17年度より1万2400トン(9%)多かっただけでなく、表年の18年度よりも千トン(0・6%)上回った。
 農政局によると、裏年の収穫量が表年を上回るのは珍しい。19年度は18年度に比べ、果実数は少なかったが、全体的に大玉になったほか、18年度は台風の被害を受け、収穫量が伸びなかったことなどが要因ではないかという。19年度の10アール当たり収穫量は2270キロで、ここ5年では最多となった。
 結果樹面積(収穫を目的として実をつけた面積)は、全国の18%に当たる6900ヘクタールで、07年度から13年連続で全国最大となっている。
 一方で、同面積は毎年減少しており、10年度は7500ヘクタールあったが、18年度は7010ヘクタールまで減り、19年度は7千ヘクタールを下回った。