和歌山県教育委員会は、白浜町の日置川沿いにある「安居の暗渠(あんきょ)」と水路について、県文化財指定を検討すると明らかにした。貴重な存在と評価し、保存や活用の方法も併せて考える。
 17日の県議会一般質問で、秋月史成議員(自民、西牟婁郡)が「近世における土木技術の高さを物語る貴重な史跡だ。県文化財に指定しては」と質問。県教委の宮﨑泉教育長は「岩をくりぬいた暗渠を持つ近世の用水路は珍しく、県内で数例しか確認されていない。施工方法からは土木技術の高さがうかがえ、貴重」と述べ、地元や町教委と調査を進めたいと答えた。
 県文化財指定には、県教委が有識者でつくる審議会に諮問し、答申を受ける手続きがある。
 安居暗渠は、日置川沿いの山の岩盤を約270メートル掘り抜いて造った地下水路。上流側に800メートルの自然の導水路、下流側には約1・5キロの水路がある。文化2(1805)年に完成した。
 造ったのは、安居村(現在の白浜町安居)の庄屋・鈴木七右衛門重秋。祖父の遺志を受け継いだ事業で、6年の歳月と私財を費やした。暗渠は200年以上使われ続けたが、2011年9月の紀伊半島大水害で一部が損壊した。
 秋月議員は「鈴木の功績についても、ふるさと教育として活用できないか」とも質問した。宮﨑教育長は「鈴木のように地域の発展に生涯を尽くした先人の功績を取り上げ、児童・生徒が自ら調べるなどの学習に取り組むことは大切だと考える」と答えた。
 安居暗渠と水路、それに三須和神社(白浜町安居)にある暗渠碑は町指定文化財(史跡)になっている。
■「後世に残す責任ある」
 県教委が安居暗渠の文化財指定を検討することについて、地元住民らでつくる「ひきがわ歴史クラブ」会長の尾崎彰宏さん(73)=白浜町日置=は「200年以上も地域を潤してきた貴重な存在であり、後世に残すことは今を生きる者の責任でもあると思う。(指定が)保全につながるといい」と話している。