観光支援策「Go To トラベル」事業の年末年始(28日〜1月11日)の一斉停止を政府が決めたことで、和歌山県紀南地方の宿泊施設には予約のキャンセルが相次いでいる。全国で感染が広がっており「致し方ない」との意見がある一方、政府に補償を求める声もある。
 「毎日、ものすごい量が来るんです」。白浜町の白浜温泉街にある宿泊施設「紀州・白浜温泉むさし」女将の沼田弘美さん(49)は、宿泊予約のキャンセル情報を印刷した大量の紙を見てそうこぼす。
 年末年始の予約は、11月中旬にはほぼ埋まっていたが、政府が14日に「Go To」の停止を表明して以降、1日当たり150〜200件のキャンセルが入っているという。三が日の後の平日6、7日は休館を決めた。
 正月は一年でも特別な期間。食材や食器の発注は12月上旬に終えており、一部は納入が始まっている。初詣も分散が呼び掛けられているので、例年なら1〜3日だけの特別メニュー提供の期間を延長することも検討している。「Go To」がなくても宿泊するという客はおり「この機会にしか旅行できない方もいる。リフレッシュできる環境を提供したい」という。
 沼田さんは政府の判断について「努力されている医療従事者を考えると(停止も)必要だったとは思う」と話す一方で「補償がないとかなり厳しい」とも打ち明ける。「政府にはしっかりと判断してもらいたい」と望んでいる。
 白浜温泉旅館協同組合(加盟24施設)事務局によると、予約の半分ほどが消えた施設もあるという。那智勝浦町の南紀勝浦温泉旅館組合(加盟10施設)事務局も「Go To利用の予約はほとんど消えた。どの施設も対応に追われている」と話す。
 県が主要14宿泊施設に聞き取り調査したところ、「Go To」の停止表明から1週間で48・4%(約2万2千人)のキャンセルがあった。
 「Go To」では、旅先の各種事業所で使える共通クーポンも発行している。今回の停止について、白浜町商工会事務局は「ふたを開けてみないと分からない部分はあるが、少なからず影響は受けるだろう」と気をもんでいる。
 土産物店などに商品を卸している田辺市内の海産物加工業者は「クーポンの利用で10、11月は例年以上の売り上げがあったが、年末年始は厳しくなるだろう。スーパーなどには通常通り卸しているが、帰省客が減れば当然購入も減る」とみている。
 一方、紀南発の旅行はそこまでの落ち込みはないという。田辺市内の旅行会社は「キャンセルは出ているが、想像していたほどではない。高額の旅行商品だが、夏ごろから計画していた人が多く、割引がなくても感染対策をして楽しんできたいという人が多い」と話している。