気になるムダ毛。ウェブで「脱毛」と検索すると、さまざまなエステサロンやクリニックのホームページがヒットします。中には「初回ゼロ円」などと安さをアピールするものや、「痛くない」「安全」などといった表記も見られます。

こうしたうたい文句をうのみにして、安易な気持ちで脱毛すると、「こんなはずじゃなかった!」ということになりかねません。施術を受ける前に、脱毛の「基本のき」をおさえておきましょう。

どう違う? エステとクリニック

脱毛の施術が受けられるのは、クリニックなどの「医療機関」と、エステティックサロンや脱毛サロンなどの「医療機関以外」の施設に分かれます。大きな違いは、施術方法が「医療行為に当たるかどうか」です。

高い脱毛効果を得るためには、毛根にある毛乳頭などの組織を破壊する必要がありますが、これらは医療行為に該当するため、医療機関でしか行うことができません。エステで行えるのは、一時的な除毛・減毛で医療行為に当たらない範囲の施術に限られます。

医療機関で行われている代表的な施術方法は、特定の色素に反応するレーザーの性質を利用した「レーザー脱毛」、複数の波長の可視光線を照射する「光脱毛」、毛穴に針を通して電流を通す「電気脱毛」などがあり、いずれも毛乳頭を破壊して脱毛します。

エステでは、光を使った施術が主流で、業界団体が定めた自主基準により、「皮膚に負担を与えず、毛の幹細胞を破壊しない範囲」に限定し、低出力に抑えることになっています。

脱毛にリスクはつきもの

国民生活センターが2017年5月に公表した報告書によると、2012年からの5年間で、脱毛施術により危害を受けたという相談は、964件寄せられています。

内訳は、エステティックサロンが680件、医療機関が284件。危害の内容では、痛みや炎症、発疹などの「皮膚障害」と「熱傷(やけど)」が多く、同センターが実施したアンケート調査でも、回答者の4分の1がやけど、痛み、ヒリヒリ感などの身体症状が生じた経験があると回答しています。

エステでの脱毛に関する相談の中には、「毛穴に針を刺して毛根を熱で死滅させる永久脱毛の施術を受けたら赤く腫れあがった」、「肛門周辺の光脱毛で、痛みを訴えたが施術を続行され、やけどを負って完治に1年かかると言われた」など、明らかにエステで行える施術の範囲を逸脱した事例もありました。

医療機関についても、「ひざ下のレーザー脱毛でやけどのように腫れ、色素沈着が残った」「レーザー脱毛を受けたらじんましんが出て、レーザーの跡が残りスカートがはけなくなった」などの相談が寄せられています。

こうしたトラブルの背景には、施術者の腕が未熟、機器の特性を理解していないといった問題に加え、消費者に誤解を与えるような広告の表現や、リスクについての事前の説明不足があります。

国民生活センターの調査によると、エステサロンのホームページや広告に「痛みゼロ」「トラブルの心配はまったくありません」などと安全性を強調する表現が散見されていますが、脱毛にはリスクがつきものです。

機器の操作ミスや照射時間の誤りによってやけどをしたり、皮膚が弱くなり、細菌に感染して毛嚢炎(もうのうえん・ニキビのような吹き出物)になったりすることがあります。まれに、毛が増えてしまったり、硬くなってしまったりするケースも。エステで使用される機器も、低出力だからといって「痛くない」「安全」とは限りません。

また、医療機関のホームページは、他と比べて優位性を訴求する比較広告や、早急な受診を過度にあおるような表現は、ガイドラインで禁止されています。クリニックのホームページに「業界ナンバーワン」「有名人も通院している」「医療脱毛キャンペーン〇月〇日まで」などの表現を使うことはできないのです。

エステでも医療機関でも、ホームページに不適切な表現があったり、すぐに契約や施術を勧めたりするところは要注意。事前に施術の内容やリスクについて十分な説明を求め、誠実に対応してくれるかどうかを見極めましょう。
[監修:山田秀和 近畿大学医学部 奈良病院皮膚科教授、近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長]

参考
国民生活センター「なくならない脱毛施術による危害」

医師・専門家が監修「Aging Style」