アンチエイジングの分野で注目されている「レスベラトロール」という成分をご存じだろうか。赤ワインなどに含まれるポリフェノールの一種で、高い抗酸化パワーがあることから健康効果が期待され、さまざまな研究が進められている。

第17回日本抗加齢医学会総会(2017年6月2〜4日)で、専門家らがレスベラトロールの男性機能や皮膚への効果についての研究を発表した。

勃起力がアップ

性欲低下、勃起不全(ED)など男性機能障害を10年以上研究している順天堂大学医学部付属浦安病院泌尿器科の辻村晃医師は、「レスベラトロールの男性機能・排尿機能への効果」について講演した。

国内のED患者は1300万人いるといわれている。ED治療のガイドラインによると、治療は3段階あり、最初はバイアグラやシアリスなど、ペニスの勃起を邪魔する酵素「PDE5」の働きを阻害する薬を飲む。効き目のない患者はペニスに注射をしたり、陰圧式勃起補助具を使ったりする。それでも治療が難しければ、ペニスの中に芯棒を入れる手術となるが、現状では自費診療となり、手術まで希望する人は少ない。

「PDE5阻害薬以外の治療法はハードルが高く、だれでも受けられる治療とはいえません。ガイドライン以外の追加治療として、男性ホルモンの『テストステロン』を補充する方法もありますが、効果は個人差が大きい。近年、広がりつつある腎結石や尿管結石を砕くための医療機器をペニスに当て血流を改善する低出力衝撃治療は、治療費が高く誰でも受けられるとは言えない状況です」(辻村氏)

いま、患者の多くが受けているのはPDE5阻害薬による治療まで。効果が出なくても他の選択肢を選びにくい。

そこで、辻村氏はPDE5阻害薬に変わる新たな治療法がないかと研究し、注目したのが「レスベラトロール」だ。レスベラトロールは長寿遺伝子を活性化させることで知られている。

ペニスの海綿体の中にある長寿遺伝子を活性化することで、勃起力の改善に役立てられないかと考えた。

「ラットの研究では効果が認められ、ヒトによる臨床研究でも良い結果が出ています。今、論文化に向けて研究を進めているところです。また、現在、PDE5阻害薬は前立腺肥大症や膀胱にも良い影響をもたらすことがわかり、男性の排尿障害にも使われています。レスベラトロールも排尿障害の治療に役立てられるのではないかと考えています」

皮膚の抗老化に関する最新研究

北海道薬科大学薬学部薬理学分野の若命浩二准教授は「レスベラトロールに秘められた効果とは」と題し、報告されているいくつかの研究を取り上げながら、皮膚にどのような効果があるか、その可能性について講演した。

レスベラトロールを含むツツジ科の果実「サンタベリー」(わかさ生活の登録商標、英語名はリンゴンベリー)のエキスを使い、健康な30〜64歳の女性48人を対象に、皮膚の抗老化を検証した臨床研究では、サンタベリーエキス40mgを毎日12週間摂取した結果、肌弾性(皮膚を引っ張った状態から戻るまでの時間)の改善が確認されたという。

また、16人の被験者に対して4日間、肌に紫外線をあてた直後にレスベラトロールを塗布するという実験では、紅斑やサンバーン細胞の形成が抑えられたとの報告があり、レスベラトロールは日焼け予防に可能性があるとした。そのほか、ニキビの改善にも効果がありそうだという。

レスベラトロールのさらなる研究が期待される。

第17回日本抗加齢医学会総会
※敬称略
ランチョン セミナー4「Health×Anti aging~レスベラトロールに秘められた効果とは~」
演者:若命 浩二(北海道薬科大学薬学部薬理学分野)
ランチョン セミナー16 「レスベラトロールの男性機能・排尿機能への効果」
演者:辻村 晃(順天堂大学医学部付属浦安病院泌尿器科)

医師・専門家が監修「Aging Style」