米ゴルフ界の今週は、動きの多い1週間だった。


女子ゴルフはメジャー大会の「ANAインスピレーション」が開催され、灼熱のパーム・スプリングスの4日間に注目が集まっていた。日本人選手は畑岡奈紗が7位タイの大健闘だったが、渋野日向子は51位タイ、河本結は69位タイと残念な結果に終わった。

母国の選手のメジャー優勝を待ち望む米国ファンは、ネリー・コルダ(米国)とブルック・ヘンダーソン(カナダ)の優勝争いに見入っていたことだろう。しかし、韓国のイ・ミリムが奇跡の猛追をかけ、3人のプレーオフを制して勝利をさらった。それは驚きの幕切れだったが、その意外な展開は、まさにメジャー大会にふさわしいドラマだった。

男子ゴルフに目をやれば、シニアのチャンピオンズツアーでは観客を入れた形で開催された。「サンフォード・インターナショナル」(9月11〜13日)はコロナ禍でギャラリーを入れた初めての米ツアー大会。土曜日にはジャック・ニクラス(米国)やトニー・ジャクリン(イングランド)などレジェンド4人による9ホールのチャリティ・エキシビションも行なわれ、サウス・ダコタ州のミネハハCCには大勢のゴルフファンが詰め寄せた。

今春、新型コロナに感染し、闘病を経験した80歳のニクラスは、もちろんすでに回復しているが、この日はスイングにも動作にもスピードが無く、飛距離も出ない状態だった。しかし、それでもエキシビジョン・ゴルフの場にやってきて、9ホールをしっかり回った姿に、人々は温かい拍手を送っていた。集まった寄付金は地元のサンフォード小児病院へ贈られ、最終日はミゲル・アンヘル・ヒメネス(スペイン)の優勝に沸いた。

こうして観客を受け入れ、エキシビションやプロアマも開催していく動きは、まずシニアのチャンピオンズツアー、その後はレギュラーツアーへとシフトされていく予定になっている。

その米ツアーは今週、早くも新シーズン開幕戦の「セーフウエイ・オープン」が開催され、47歳のスチュワート・シンク(米国)が2009年「全英オープン」以来、実に11年ぶりとなる驚きの復活優勝を挙げ、米ツアー通算7勝目を飾った。

息子レーガンをキャディに付け、ぴったり合った父子の呼吸が面白いようにスコアを伸ばしていった。見守っていたのは愛妻のリサ。2016年にリサが乳がんと診断されたとき、シンクは「しばらくツアーを休む」と言って長期欠場し、リサの闘病を見守ったことが思い出された。

「今週はスペシャル・ウィークだった。レーガンは高いレベルでゴルフを理解していて、大きな助けになってくれたことは、驚きであり、喜びでもあった。こうして家族揃ってここに立っていられる幸せに感謝したい」

シンクと妻、そして息子。家族3人、勝利を喜び合う姿からは強く温かい家族愛が伝わってきて、嬉しくなった。

そうやってシンクが勝利したその日、これから始まる「全米オープン」の舞台、ウイングドフットに「タイガー・ウッズが現れた」という第一報が入った。

ブライソン・デシャンボー(米国)らとともに、深く長いラフが茂るウイングドフットで早々に練習を開始したウッズは、短パン姿で元気そうに球を打っていた。

昨年は春に「マスターズ」を制し、秋に「ZOZOチャンピオンシップ」を制し、その強さが今なお健在であることを世界に示したウッズだった。しかし今年は、腰の状態もゴルフの調子も振るわず、コロナ禍とあいまって、スポットライトを浴びることなくシーズンを終えた。
だが、2020年のメジャー大会は、まだ2つも残っている。

全米オープンでウッズ優勝を予想するブックメーカーのオッズは28倍。2006年大会のウイングドフットで目前の勝利を逃し、今年、雪辱を目指すフィル・ミケルソン(米国)のオッズは75倍。そのミケルソン優勝に4万5000ドル(約477万円)を掛け、337万5000ドル(約3億5700万円)の一獲千金を狙っている人物もいるという。

まさに今週の米ゴルフ界は驚きの連続だったが、これから始まる全米オープン・ウィークは、さらに大きな驚きと夢あふれる1週間になりそうな予感だ。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

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