<JOYXオープン2021 最終日◇11日◇JOYXゴルフ倶楽部上月コース(兵庫県)◇7039ヤード・パー72>

国内男子ツアー通算16勝、賞金王2度獲得。2001年のマスターズで4位タイに入り、02年のワールドカップでは丸山茂樹とのタッグで世界一に輝いた伊澤利光が、JOYX(ジョイックス)オープンで初めて長男と同じ土俵で戦った。


JOYXオープンは伊澤も契約するプロゴルファーのマネジメント会社、JOYXが主催し、今年で13回目。多くの男子プロが出場するツアー外競技だが、アマチュア、ジュニア、女子プロと老若男女問わず一つのフィールドで競い合える大会として親しまれている。伊澤がシニア初優勝を挙げた19年の福岡シニアオープンの際に、キャディをした長男の丈一郎が、今回は選手として出場した。同組ではなかったものの、伊澤は「親子でこうやって出られるのは、あらためていいなと思いましたね。息子はアマチュアとして出場しましたが、他のプロスポーツではなかなかないことですから」と目じりを下げた。

長男の丈一郎は2002年生まれの19歳。「小さい頃はなんとも思っていなくて、普通のお父さんです。高校入った頃から、すごい人なんだってわかりました」と、父親が数々の偉業を打ち立てたときの記憶はないが、父の背中を見ながら小学低学年の頃から遊びでゴルフを覚え、中学1年で本格的に始めた。ジュニア時代は目立ったタイトルはないものの、今春、大手前大学に進学してプロゴルファーを目指している。

高校生の頃までは、よくラウンドをともにして父から“帝王学”を教わっていた。一緒に回るとスコアは「大半は負け」だが、自身で「武器」という飛距離は父を超えるという。「福岡に住んでいるころは、ほぼ毎日(ゴルフのことを)聞いていました。父は誰よりもマネジメントは優れていると思うので、勉強になっています。あとは特にアプローチとかを教わりました」と最高の環境で学んでいる。息子に教授する伊澤は「スイングについて細かいことはあんまり言わないですよ。攻め方とか軽いアドバイスをするぐらい。ただ緊張感の出てくる試合では、基本的なマネジメントが要求されるから、しっかり今のうちから癖をつけておかないといけないよとは言ってますね」と、コースマネジメントの重要性を伝えている。

丈一郎はこれまでプロ競技への出場経験はあるが、小田孔明、武藤俊憲らトッププロが集まる試合は初めて。「特に意識していなくて、普段回る感じで(父に)勝てればいいかな(笑)」という気持ちで臨んだが、「自分が思っている以上に緊張感していました。ゴルフの調子が良かったと思ったのですが、緊張からかショットが散っていました」。試合独特の緊張感からショットが乱れ、マネジメント力を発揮できずに「77」。父の「71」には6打及ばなかった。

伊澤の全盛期は「キング・オブ・スイング」と称された。丈一郎は「自分のスイングは無駄な動きが多くて、自分では好きではありませんし、父と似ているとは思わないですね」というが、インパクトからフォロースルーにかけては父の遺伝子を感じる。ラウンド中のちょっとしたしぐさも伊澤利光を彷彿とさせる。現在のベストスコアは「67」。「まだまだですよ。大学4年間でしっかり体を作って、スイングも固めて、4年生になってプロテストを受けようと思っています」。身長169センチ、体重64キロとまだ細身の印象だが、体重を増やしてドライバーの平均飛距離300ヤードにするのが課題の1つだ。

長男がプロを目指すことに伊澤は「嬉しさ半分ですね。日本ツアーは僕らの頃とは違って試合数も減っていますしね、あまり勧めてはいませんでした。でも本人が選んだ道だから一生懸命やってもらいたい。今回もいい経験になったでしょうね。僕もシニアでもうちょっと勝たないといけないよね」。息子に背中を見せ続けるためにも主戦場のシニアツアーで勝ち星を増やす決意もある。

尾崎将司、杉原輝雄、中嶋常幸といったレジェンド選手は、“2世プロゴルファー”を送り出してきた。伊澤2世も楽しみな存在である。ちなみに、丈一郎は高校1年生の頃、博多を歩いていて大手芸能事務所にスカウトされ、その道を考えたこともあるという。ゴルフとともにその甘いマスクにも注目したい。

<ゴルフ情報ALBA.Net>