<ファンケルクラシック 2日目◇21日◇裾野カンツリー倶楽部(静岡県)◇7040ヤード・パー72>

2日目は、ずっとトーナメントをリードし続けていた伊澤利光。トータル9アンダーで迎えた最終18番パー5でバーディを獲れば、2打差の単独首位で最終日を迎えるはずだった。しかし、「左を狙いすぎた」というドライバーでのティショットは左の木に当たって林の中へ。2打目は「出すだけ」で、4オン・2パットのボギーとなり、トータル8アンダーで崎山武志、田村尚之、阿原久夫の3人に並ばれる形となった。


最後のボギーで単独首位から陥落し、さぞ悔しいのかと思いきや、ラウンド後にはニコニコと笑顔が絶えない伊澤の姿があった。「最後のボギーがなければ(きょうは)4アンダーだし、きのうの5アンダーと1個しか変わらない。(調子は)きのうと変わらず良いですよ」と平然としている。

好調の理由を訪ねると、「全体的にといえば全体的に良いですし、パッティングが今年に入ってすごく良いです」と伊澤。パッティングのヒントは同じマネジメント事務所『JOYX(ジョイックス)』の北村晃一からつかんだ。

「最近たまたま、(小田)孔明や晃一と回る機会が多くて。晃一はどこにいってもパターが上手いし、何が自分と違うのかと見ていたら、パッティングのリズム感が2メートルでも10メートルでもあまり変わらない。それで、短い距離でも長い距離でもリズム感を変えないように心の中で『スッスッ、スッスッ』と唱えるようにしたら、距離感が良くなった」

2001、03年とレギュラーツアーで賞金王を2回獲得し、01年にはマスターズで4位に入っている伊澤が、貪欲に17歳下の後輩の技を盗んで取り入れたのだ。その後、北村とプライベートでラウンドしたときには、「僕のパッティングのどこを取り入れたか教えてください」と聞かれ、「リズム感を真似しているだけだよ」と打ち明けた。実際、北村はパットの練習でメトロノームを置いて、リズム感が一定になるように気を付けていたという。それを後で知るあたりが伊澤らしい。

2メートルでも10メートルでもリズムを一定にすることで、「距離感が良いから、外れても次のホールでラインが取りやすくなる。これがショートしたり、1メートル半くらいオーバーしたりすると、次に打つときに、ラインを(ふくらませて)厚く読んだ方がいいのか、(直線的に)薄く読んでいいのかわからなくなる。いまはそれがすごく減って、パッティングのラインが読みやすくなってきた」と伊澤は話す。それが今年出場したシニアツアー4試合で、5位、2位、7位、4位という好成績の要因の1つとなっている。

伊澤が手応えを感じているのはパッティングだけではない。ドライバーの飛距離も出ている。「数字的にはわからないけど、だいたい(小田)孔明と同じくらい(笑)。それまで孔明には10ヤードくらいやられていたけど、最近は良い勝負をしている」と伊澤はニコニコと話す。小田もまた同じ『JOYX』の後輩で普段から交流がある。14年にはレギュラーツアー賞金王にも輝いた実力者で、飛ばし屋として知られている。

ボギー直後にも関わらず、伊澤がずっと満面の笑みで話すので、今はゴルフが楽しい状態ですか?と聞いてみた。すると伊澤は「見える?」と逆質問した少し後に「楽しい」とさらに顔を崩す。「いままでのゴルフ人生で今年が一番楽しい。(キャリア最高の成績を収めた)2001年より楽しいかもしれない」と言い切る。

この『ゴルフの楽しさ』が精神的な余裕にもつながっている。「パープレーとか1オーバーの日もあるけど、こういう日もあるなと受け入れられるようになって焦らなくなった。例えば前半9ホールがずっとパーで、10番でボギー打っちゃって、『アーまずい』みたいなのがない。残りホールで3つ獲って、2アンダーで回れれば良いかなみたいな。ガツガツとピンを狙っていくと、またボギーとか悪い循環になったりする。プレースタイルが良くなったのかな」と自己分析する。

首位タイで迎えるあすの最終日について聞かれると、「技術面もそうだし、精神面もそうだし、自分のなかですごく充実しているので、勝てるように頑張りたいです」と答えた伊澤。最後に再び「ゴルフ楽しいです」と屈託のない笑顔を残して去っていった。

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