<スタンレーレディス 最終日◇10日◇東名カントリークラブ(静岡県)◇6592ヤード・パー72>

「完璧なショット」。しかしそれが佐藤心結(みゆ、明秀学園日立高3年)の、ツアー史上8人目のアマチュア優勝を阻むことになった。来週プロテストを控える高校3年が、富士の麓で最後まで頂点を狙うにふさわしい戦いを続けた。


緊張のなか首位タイで最終組からスタート。「伸ばしあいになると思っていたのでアンダーが必須」という気持ちでプレーすると、しっかり2つ伸ばして最終18番に入った。このパー5でバーディを奪えば優勝が決まる。ピンまで残り76ヤードからの3打目を打つ時に描いていたのは、「短いバーディパットを打って優勝」するというイメージだ。しかしそこでミスショットが出て10メートル近いパットを残すことに。これを外したが、トータル10アンダーのトップタイでホールアウトした。

勝負は渋野日向子、木村彩子、ペ・ソンウ(韓国)とのプレーオフにもつれこむことに。しかしここでもアマチュア離れした、プレーを見せた。18番を使用して行われた、1ホール目では3打目を1メートルにつけるショットで、プロたちにプレッシャーを与える。ここでバーディを奪うと、渋野、ソンウとともに“運命の2ホール目”に入った。

フェアウェイを渡り歩いて迎えた3打目。先に打ったソンウと渋野が、ともに1メートルにつけるなか、自分の順番を迎えた。「ピンまで残り90ヤードを、50度のウェッジでライン出し。少し奥に落としてバックスピンで戻す」。こうして放った一打は、しっかりとピン筋をとらえた。しかし次の瞬間、ボールがピンに当たる。すると、強くグリーンに落ちたボールは、コロコロとカップから離れていった。「完璧なショットだったので、まさかピンに当たるとは思っていなかった」。そう唖然としても何も不思議ではない、見事なショットだった。

「気持ちを切り替えて」打ったバーディパットは外れ、そして渋野の優勝が決まった。クラブハウスに戻る時には、体を小さくかがめながら号泣。キャディを務めた三觜喜一コーチのもとで学ぶ先輩プロの辻梨恵、高木優奈らから励ましの言葉をもらった時も涙は止まらない。「最初は悔し涙の方が強かったけど、上がってきてから(先輩が)すごく頑張ったねって言ってくれたので、その時に3日間頑張ってよかったなと思えた」。“悔しさ”と“喜び”。そんな両方の思いが、あふれ出たものの理由だった。

「有名なプロとプレーオフをするのは、自分としてはできすぎなんじゃないかな」。敗戦後は、清々しい表情でそう話した。そんな佐藤は、来週12日(火)から茨城県のザ・ロイヤル ゴルフクラブで行われるプロテスト第2次予選を受験する。「明日から練習ラウンドです」と休む間もなく、次なる大きな戦いに挑むことになる。「今はツアーに出る予定はないけど、プロテストで合格したら、またこの舞台に戻ってきて優勝できるように頑張りたい」。今大会通じての平均飛距離でも、並み居るプロを抑えて堂々の1位(平均260ヤード)。金の卵は、あまりにも強烈なインパクトを残して、熱戦の地を後にした。(文・間宮輝憲)

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