公益社団法人日本プロゴルフ協会(PGA)の倉本昌弘会長が、8日に行われた理事会後の記者会見で、退任の意向を表明した。来年3月の任期満了をもって、自ら8年の長期政権にピリオドを打つ決断に至った真意は何なのか。昨年から今年にかけ、倉本会長の長期連載をデイリースポーツで手がけた日本ゴルフジャーナリスト協会・小川朗会長が、会見から一夜明けた9日に直撃インタビューを試みた。


倉本が会長の座に就いたのは2014年の春。当時は副会長と理事による暴力団幹部との交際が発覚するなど、問題が山積みの状態だった。そのため周囲から会長への立候補を要請されると「1期2年じゃ何もできない。3期6年は任せてもらいたい」という長期政権への支持を取り付けてから出馬している。

晴れて会長となった倉本は、就任直後から持ち前の行動力を発揮。反社会勢力との対応に苦慮したときなどに警察OBが対応してくれる「PGA119番」を新設するなど、暴力団排除に尽力し成果を上げた。事実、その後の倉本体制下において「黒い交際問題」は再発していない。当初宣言した3期6年をさらに2年延長して、4期8年。任期満了が、来年の3月に迫る。

「やり切った、という感じですか?」というこちらの問いに、倉本は即座に首を振った。「いやいや、やるべきことはいくつも残っています。実現できたこともあるけれど、できなかったこともありますから。組織として変えていかなければいけないところはまだまだありますが……。5700人を超える大きな組織を運営していく難しさはありましたね」。

できなかったこと――。最後の任期2年はコロナ禍に見舞われる一方で、協会内のトラブルもあった。システム開発の過程でPGA側が、井上建夫副会長の妻Yさんが社長を務め、息子Xさんが勤務している会社に仕事を依頼。ところが成果物が行方不明になったうえ、会社も破たん。そのため未回収だった1300万円が事業損失となってしまうことが確定した。倉本会長と井上副会長がその一部を補てんすることを明らかにしている。

このトラブルはいまだに尾を引いており、倉本会長、井上副会長、根本修一事務局長の解任を審議する臨時総会の開催請求が2度に渡って出された(すでに2度とも、総会は開かれないことが理事会で決定済み)。一方、内閣府の公益認定等委員会から、報告書の提出を求められる事態にもなっている。「第三者委員会からの調査報告書が上がって来て、12月の理事会を経て、年末には内閣府に報告できると思います」(倉本会長)という状況だけに、この件が完全決着となるまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。

とはいえ、コロナ禍というピンチにも直面する中、他のゴルフ競技団体とは比べものにならない積極性をもって、大会開催への努力を続けたのは確か。また、不祥事続きでマスコミを避けるため、裏口から逃げることまであった歴代のPGA会長だが、そうした会長たちに比べれば「何があっても情報をディスクローズする姿勢は評価されてしかるべき」と評価する声は関係者からもよく聞かれる。

倉本会長自身も「確かにPGAというものの露出も増えて注目度が上がり、世に知られるようになったというのは、ひとつの実績なのかと思います」と、感慨深げに振り返った。今後については「選手に戻りたい。JGTOやPGAの試合にも、選手として出たいなと思います。8年間我慢していたんで、ゴルフ三昧したいなと思っています」と続けた。

2003年の「アコムインターナショナル」初日に48歳で「59」という当時のツアー史上最少スコアをマークした倉本。66歳で迎える来シーズンは「エージシュートラッシュ?」と水を向けると、「いやいや、そんな甘いもんじゃないよ」と笑ったが、来季は相当期待してよさそうだ。

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