過去最高となる52試合のシーズンが終わり、賞金女王を手にした稲見萌寧。2年に渡る長期シーズンでいかにして頂点に立ったのか。その軌跡を振り返ってみたい。


前シーズンとなる2019年の「センチュリー21レディス」でツアー初優勝を果たし、初めてシード選手として臨んだ今シーズン。19年はその前年にサードQTで敗退したためフル参戦の権利はなく、リランキングで上位に入って後半戦の出場権を得ていた。つまり、本格フル参戦は今季が初めてだったのである。

コロナ禍の影響で大会中止が相次ぎ、開幕戦となった6月の「アース・モンダミンカップ」は13位タイ。その後、2019年賞金ランキング上位の資格が繰り下がったことで、海外メジャー「全英AIG女子オープン」に出場を果たした。初の夢舞台は風に翻弄されて、123位タイで予選落ち。「コースで心を折られ過ぎて、逆にまっすぐになった感じです(笑)」と自虐コメントも出るなど洗礼を浴びた。

日本復帰戦は9月の国内メジャー「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」。ここは予選落ちを喫したが、次戦で復調し8位タイに入ると10月の「スタンレーレディス」でペ・ソンウ(韓国)、淺井咲希との三つ巴のプレーオフを制してツアー通算2勝目をマーク。だが、この後は何度か上位に顔を出すものの勝ち星はなく20年は1勝で終わる。この時点では世界ランキングも63位で、日本勢5番手。後に日本代表争いをすることになるとは思っていなかっただろう。

快進撃の幕開けは21年2戦目となった「明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフトーナメント」。強風のなか3ホールに渡って行われた永井花奈とのプレーオフを制すると、4月には「ヤマハレディース」、「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」で2週連続優勝。さらに1週挟んで「フジサンケイレディス」も制して月間3勝を挙げた。

5月に入っても勢いは止まらない。2試合連続でトップ3に入ると、「中京テレビ・ブリヂストンレディス」では初日にパー72での最小ストローク記録タイとなる「61」をマークした。2日目が中止で36ホール短縮になったこともあり、楽々逃げ切ってシーズン5勝目。気が付けば賞金ランキングも2位となっていた。

だが、6月末の世界ランキングで決まる東京五輪代表争いが佳境を迎えると、ブレーキがかかる。「宮里藍 サントリーレディス」では3日目を終えて首位に立ちながら、最終日に逆転され2位に。さらに「ニチレイレディス」で41位、続くツアー最高賞金額大会の「アース・モンダミンカップ」では予選落ちを喫してしまう。だが、何とか日本勢2番手で踏ん張り、東京五輪への切符を手にする。

決まった直後に行われた「資生堂レディス」では予選落ちを喫したが、徐々に調子を取り戻して2試合連続でトップ10に入ってオリンピックへ。ここでもリディア・コ(ニュージーランド)とのプレーオフを制して銀メダルを獲得。日本勢として初めてゴルフ競技でメダルを獲得した。

ここからさらにアクセルを踏み込む。五輪明け2戦目の「CAT Ladies」こそ初日から守った首位を最終日に明け渡して2位タイに終わったが、翌週の「ニトリレディス」で早々にリベンジを決めてV。さらに1試合棄権を挟んで迎えた「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」でメジャー初制覇を果たした。3600万円を加算して、ついに賞金ランキング首位に立つ。

その後も着実に上位に顔を出して賞金を加算したが、10月末の「NOBUTA GROUP マスターズGC レディース」を腰痛のため棄権。これ以降腰の痛みと付き合いながらの戦いとなったが、1週空いて迎えた「TOTO ジャパンクラシック」で2位に入ると、「伊藤園レディス」で今季9勝目。追いすがる古江彩佳を突き放すと、辛くも逃げ切った。

終盤に入っても賞金女王は意識していないと話し続けてきた稲見も、決まった瞬間は喜びを爆発させた。様々な記録を樹立してきたシーズンを最高のかたちで締めくくった。

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