<BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ 初日◇2日◇宍戸ヒルズカントリークラブ 西コース(茨城県)◇7387ヤード・パー71>

石川遼といえば、左手の人差し指と右手の小指を絡めて握る『インターロッキング』のイメージが強かった。しかし今は写真を見ての通り、左手の人差し指に右手の小指を乗せて握る『オーバーラッピング』で握っている。


インターロッキングは手が小さい女性や握力のない人に向いているといわれている。両手の指を絡めるため、グリップに一体感が出るのがメリットだ。それがパワーヒッターのタイガー・ウッズ(米国)がインターロッキングで大活躍したため、ウッズに憧れてゴルフを始めた子どもたちは、大人になってもインターロッキングにしていることが多い。松山英樹もインターロッキングだし、以前は石川もそうだった。

石川は2008年頃、ジャンボ尾崎の「アプローチで微妙なタッチが出せる」という指導で一度オーバーラッピングにしたことがある。しかしその期間はそんなに長くなかった。結局、インターロッキングで握る中嶋常幸のアドバイスで、戻した経緯がある。

実際に試したことがある人はわかると思うが、インターロッキングとオーバーラッピングではかなりスイングの感覚が変わる。石川はオーバーラッピングにして「ちょうど1年経ったので、もう違和感はない」という。おそらく最初は違和感がかなり強かったはずだ。なぜそこまでしてグリップ変更に踏み切ったのか。

「インターロッキングのときは右手と左手でぞうきんを絞るような形で、左手をちょっとフック、右手をウィークに握っていた。スイング改造するときにグリップまで手をつける予定はまったくなかったんですけど、左手をウィークに握った方が、積極的に上半身や腕を使っていけるので、最初はインターロッキングで左手をウィークに変えたんです」

しかし、ここで問題が発生する。インターロッキングは左手の人差し指と右手の小指を絡めるため、左手をウィークにすると、右手まで一緒に動いて「ウィークになりすぎてしまう」。どうしても左手だけウィークにすることができなかった。右手が最初からウィークだと、それ以上フェースを返す動きができないので、「ドローが打てない」。そこで、右手と左手を分けて握りやすい「オーバーラッピングにして、左手がウィーク、右手がスクエアかちょっとウィークぐらい」に1年前から変えたのだ。

左手をウィークにするメリットは、フェースをシャットに使う左手首の掌屈動作(左手を手のヒラ側に折る)にある。左手をフックに握ると、掌屈は制限されてやりづらい。「僕はもともと左手がフックで、左手首を背屈状態のまま打っていた。フェースを開いて構えていたものを、さらに開いて上げる感じです」。

いまは左手を掌屈しフェースを閉じて下ろしていくので、まったく逆の感覚となる。「その戦いは1年経ったいまもある。そうとう厳しい戦いではあるんですけど、左手をウィークにして掌屈できるようになると、幅も広がって、長期的に見たらいいのかなと。本当にまだまだですけど、それをずっとやっている」。

石川のスイング改造が実り、再び優勝を重ねれば、オーバーラッピングでゴルフを始める子どもたちが増えそうだ。(文・下村耕平)

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