4日間通算でアンダーパーはたったの6人。大会2日目、千葉県木更津市では瞬間最大風速20m/sを観測。立っていられないような突風が吹く中で行われた「アース・モンダミンカップ」は、木村彩子の初優勝で幕を閉じた。木村は2015年にプロテスト合格、ツアー8年目に手にした初の栄冠だった。本大会では松森彩夏のキャディも務め、上田桃子、吉田優利らを指導するプロコーチの辻村明志氏が勝因を分析する。


■メジャー大会にも遜色ないコースセッティング

第1回大会が2012年に開催されている「アース・モンダミンカップ」は今大会が11回目。第1回からカメリアヒルズカントリークラブ(千葉県袖ケ浦市)で開催されている。

「過去イチの長いラフ、グリーンの仕上がりも最高で、セッティングがメジャー大会のようで素晴らしかったです。2日目から強い風が吹き、グリーンのコンパクションは日を追うごとに硬くなり、選手たちを苦しめていました。ホールごとに長さを変える工夫がされていたラフは、これまでとまったく違う育て方をしたのではないかと思えるような、長くて強い芝が密集。ティショットをフェアウェイに打つことを第一に考えなくてはなりませんでした」(辻村氏)

メジャー大会にも遜色ないセッティングに加え、2日目から最終日まで吹いた強い風が選手たちを翻弄(ほんろう)した。風の強さについては、2日目に2回ダブルボギーを叩いた稲見萌寧が「ミスショットはなかった。風に勝てなかった」と言っていたほどだった。

■フェアウェイに打って、そこからリズムをつくるのが大切

「勝った木村さんは、今大会フェアウェイキープ率1位の素晴らしいゴルフでした。フェアウェイに打って、そこからリズムをつくるのが大切。タイミングの取り方にブレがなく、バランス重視のボディターンでスイングがシンプル。強い風が吹いていると、プロでも体のバランスを崩しスイングが乱れてしまうものですが、木村さんはまったく崩れるところがありませんでした」(辻村氏)

木村のフェアウェイキープは初日が14/14、2日目9/14、3日目9/14で、最終日は12/14。4日間トータルは44/56、78.57%で全体1位につけた。強風をものともしない一糸乱れぬスイングのたまものだといえる。辻村氏が試合後に映像を確認すると、木村のショットの場面では、強く吹いているはずの風が吹いていないのではないかと思えるほどだったという。

前週の「ニチレイレディス」ではコーチの南秀樹が木村のキャディを務めた。そのときに、練習では出ないが試合になると出る悪いクセを指摘されたという。ヘッドが下から入っていた。「打つ前にスプリットハンドでクラブを持って素振りをしなさい」という南のアドバイスを実践していたという。

「左ワキが締まったフォローで、ヘッドが低く振り抜けていました。インパクトの前にヘッドが垂れることは、まったくありませんでした。風が強い日はタイミングのズレやリキミが生じるなどして、左へのミスが出やすいものですが、木村さんにそういった様子はまったく見られませんでした」(辻村氏)

■南秀樹の指導を受けパッティングが向上

辻村氏は、パッティングの向上も勝因に挙げる。木村のパーオンホールの平均パット数を見てみると、2018年が1.8613(69位)、19年は1.8429(59位)、20-21年シーズンは1.8222(32位)、そして22年は1.8042(18位)と、年々向上している。

「19年から南コーチの指導を受けていると聞きました。覚悟を決めて香川県に引っ越して、コーチとともに研鑽(けんさん)を積んできた成果だと思います。平均パット数は0.1ポイント違うだけで大きく変わります。着実に平均パット数を上げ、今では1.7が見えてきています。このまま上達していけば、メジャーでの勝利もあるでしょう」(辻村氏)

そして最後に、木村の初優勝を阻むのではないかというゴルフを最終18番まで続けた、前週「ニチレイレディス」で今季初優勝を遂げた西村優菜の追い込みについても。「西村さんは自分から崩れるところがありません。今大会は1打差で2位タイでしたが、今シーズンまだまだ勝利を重ねていくのではないでしょうか」と、辻村氏は着目していた。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、松森彩夏、吉田優利などを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

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