50歳以上のプロゴルファーが持てるテクニックを駆使して真剣勝負を行う国内シニアツアー。レギュラーツアー時代から勝負にこだわり続ける者もいれば、新たな気持ちで挑む者もいる。今季、密かに爪を研いでいるのがプロ34年目を迎えた56歳の鈴木亨だ。レギュラーツアーで8勝を挙げ、シニアツアーでも5勝を挙げている鈴木のゴルフ観や技術に触れながらその横顔に迫る。(取材/文・山西英希)


■背骨が地面と垂直を保ったままストロークする

ショットでいくらピンの近くにつけても、パッティングが決まらなければスコアはよくならない。プロが60台のスコアを出すためにも欠かせないのが、やはりパティング力。レギュラーツアー時代からビッグスコアを出す“爆発力”に定評があり、シニアツアーでは2016年の平均パット数が3位になった鈴木に、どのようなストロークを心がけているのか聞いてみた。

パッティングに対する考え方はいたってシンプルだ。「背骨を軸にして、ヘッドが円く動くようにストロークするだけです」。鈴木のいう“円く”とは、正面から見たときのヘッドの軌道。ダウンスイングで緩やかな軌道でヘッドが下りて、インパクトを迎えたら緩やかな軌道でヘッドが上がっていくことだ。ヘッドを低く長く動かす人もいるが、鈴木は円を描くように振る。

円く振るコツとして、ストローク中、グリップエンドは常に自分を指していることを心がけているという。手元だけが目標方向に出すぎるハンドファーストだと、グリップエンドが自分から外れてしまう。

ここで大切なのが背骨の角度になる。「正面から見て背骨が左右に傾いてしまうと、背骨を軸に円く振ることができないからです」。背骨を地面と垂直にしてストロークすると円く振れる。そのために気をつけているのが「肩のラインを地面と平行にすること。ショット同じように順手だと構えたときに右手が左手よりも低い位置にくるので、どうしても右肩が下がり、背骨が右に傾きがちなので要注意です」と鈴木。

背骨を地面と垂直にして構えるために、一度直立姿勢に立って両手を胸の前に持ってくる形をつくる。このときに両肩が水平になっているかを確認。そのまま肩の高さを変えずにヘッドを地面の上に置く。場合によっては、クロスハンドグリップに構えてしばらく練習することで肩の高さを水平にすることもあるという。

■体は大きく動かさずに肩甲骨を使って振る

「ストローク中はできるだけ体を動かさないようにします。アベレージゴルファーは下半身も含めて体を動かしすぎるので、インパクトでパンチが入ったり、軌道が安定しないのです」。鈴木の場合、下半身を動かすことはなく、体を回す意識もないという。多少胸の向きが変わるものの、あくまでも動かすのは肩から先だけで、それも肩甲骨によって操作する。

「小さな動きでヘッドを大きく動かすイメージです。上半身をまったく動かさないぐらいの意識を持ちましょう」

あとはクラブを“インサイドストレートイン”の軌道を意識してストロークをする。ヘッドが同じ高さで動くため、ボールをフェースの芯でとらえる確率が高くなり、転がりもよくなるという。パッティングで思うようにボールをコントロールできないという人は、背骨の傾きをチェックし、ムダな動きを抑えることを第一に考えてみてはどうだろうか。

取材協力・季美の森ゴルフ倶楽部


■鈴木亨
すずき・とおる/1966年5月28日生まれ、岐阜県出身。身長178センチ、体重80キロ。日本大学ゴルフ部時代は「日本アマ」などのタイトルを獲得。同期には川岸良兼がいる。89年にプロ転向後は、93年にツアー初優勝をはじめ、通算8勝。2011年までシード選手として長年活躍。シニア入り後は、3年目の18年に3勝を挙げて賞金ランキング2位。今季は賞金王を目指す。シニア通算5勝。ミズノ所属。

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