先週の「トラストゴルフ・スコティッシュ女子オープン」を制して米国女子ツアー初優勝を挙げた古江彩佳。最終日に「62」をマークする鮮烈な逆転劇を支えたギアの一つがブリヂストンゴルフの最新モデル『B3 SD(ストレートドライブ)ドライバー』だ。


このドライバーの最大の特徴は、フェースのみチタンで、その他のボディ全体をカーボンで成形していることだ。「カーボンモノコックボディ」と呼ばれる構造だが、通常のチタンヘッドに比べて約40グラムの余剰重量を生み出すことで、軽量化と高慣性モーメント化の両立が可能になるという。

ここで気になるのが、古江が優勝後に出した「新しいドライバーはリンクスの風に負けず、安定したのでマネジメントしやすかった」というコメントだ。軽量なドライバーと聞くと、高さは出るものの、重いものに比べて風に弱い印象がある。しかし、『B3 SDドライバー』のヘッドを細かく分析していくと、そのコメントにも納得な理由が見えてきた。

まず、ヘッドの慣性モーメントを簡易的に推測する方法として「重心角」のチェックがある。板の上にシャフトだけを乗せて、フェースが垂直なラインに対してどれくらい上を向くかを示したものだが、『B3 SDドライバー』は最新モデルの中でも大きめな“33度”となっていた(※)。重心角が大きいということは、ヘッドの後方に重量があることになり、慣性モーメントが高い。

この重心角の大きさから、弾道の安定感が高いドライバーであることが分かるわけが、さらに見てほしい指標が「FP(フェースプログレッション)」だ。シャフト軸に対して、リーディングエッジがどれくらい出ているかを示すものだが、『B3 SDドライバー』はこのFPの数値も“18.8ミリ”と非常に大きくなっていた。

このことから何が分かるかというと、それは“実質的な重心の深さ”になる。ヘッド自体は重心が深く安定感の高いものに仕上がっているわけだが、FPを大きく取ることで、シャフト軸から見た重心の深さを小さく抑えた“隠れ浅重心”とも呼べる設計になっているのだ。つまり、ヘッド全体を見れば重心が深く、高慣性モーメントによる安定感があるが、シャフト軸からは浅重心になっているので、直進性の高い球も打ちやすくなっている。そう、古江がコメントした通りの性能がしっかり備わっているのだ。

もともと『B3 SDドライバー』は、プロや上級者に向けたモデルではなく、アベレージ層に向けたやさしいモデルとして発表された。たしかに軽量化による振りやすさや安定感、球の上がりやすさなど、アベレージゴルファーに必要な性能も多数入っているが、前述した隠れ浅重心のようなプロ、上級者も使いたくなる要素もしっかり入ったドライバーなのだ。

現在はツアーにおける『B3 SDドライバー』の使用率はそこまで高くないが、古江の優勝をきっかけにテストを始めるプロが増えるかもしれない。(文・田辺直喜)

※重心角、FPなどの数値は、試打クラブをALBA独自の基準で計測。メーカーが公表する数値などと異なる場合があります。

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