2012年賞金王でツアー通算18勝を誇る53歳のベテランが岐路に立っている。先週行われた国内男子ツアーの「日本プロゴルフ選手権」の最終日。9位タイから出た藤田寛之は、3バーディ・2ボギー・2ダブルボギーの「74」。今季初のトップ10入りのチャンスだったが、3つ落としてトータル2アンダー、26位タイで4日間を終えた。レギュラーツアーの次戦は来週の「セガサミーカップ」だが、藤田は国内シニア「ファンケルクラシック」にエントリーをしている。


■今季は26位タイが最高成績で賞金ランクは86位と低迷

「日本プロ」の4日間を終えた藤田は、「ベスト10ぐらいでは終わりたいなと思っていましたけど、ショットが全然ダメですね。どうしても左(に曲がるミス)が出るんですよね」。ここ数年悩むドライバーショットが左に曲がるミスが出始めて、ショット全体のリズムも崩したと、険しい表情で振り返る。

第3ラウンドの16番ホールまでは、トータル7アンダーで優勝戦線に絡もうかという位置でプレーしていたが、ドライバーショットが左に曲がるなど17番、18番連続ボギーで後退。最終日もボギー先行と苦しい1日となった。

フェードボールを“持ち球”とする藤田は、つかまりがよく直進安定性の高いクラブの進化に対応すべく、スイングを変えてきた。しかし、長年藤田のゴルフを支えてきたフェードが思うように打てなくなるどころか、逆に左に曲がるショットが出るようになっていた。

今年に入ってクラブやスイングの調整でいい方向に進んでいたが「3年ぐらいスイングを変えていましたから、なかなかイメージが戻らないのが正直なところです」。ところどころでティショットが林に入るなでスコアに直結するような大きなミスが出てしまうという。

ショットの悩みなどから昨季は賞金ランキング70位で23季守った賞金シード権を喪失。今季は「生涯獲得賞金ランキング25位以内」の資格で参戦している。ここまで11戦して予選通過は5試合で、「日本プロ」の26位タイが最高。獲得賞金は257万円余りで賞金ランキングは86位と賞金シード圏内の65位を大きく下回っている。

「レギュラーツアーでは歯が立っていないですよ、今の自分のゴルフでは…」

■シニアの海外メジャーにも目を向ける

この夏、藤田寛之にある変化があった。シード権を保持していたこともあるがこれまでレギュラーと50歳以上が出場資格のシニアツアーの試合日程が重なっていても、レギュラーを優先して出場していたが、8月と9月の5〜6試合は、レギュラーの出場資格があってもシニアの試合に出場することを決めた。

6月の「スターツシニア」でシニア初優勝を遂げてある変化があった。「優勝したことでシニアの面白さも出てきました」。国内シニアは今季4戦を終えただけだが、藤田は賞金ランキング1位にいる。「レギュラーツアーはひたすら上位を目指していますが、シニアの方は来年の海外メジャーとかも見えるなら、行ってみたい気持ちもあります。そういう目標は楽しいですよね」。国内シニアツアーで賞金ランキング上位であれば、全米シニアオープンなど海外シニアメジャーの出場権を得られる。「レギュラー時代も海外メジャーを見ていたので、シニアでもメジャーは出てみたいですよね」。

レギュラー時代は海外メジャーの舞台に立って刺激を受けて、自身の力に変えて40代で12勝を挙げ、43歳で賞金王戴冠。がんばる40代から“中年の星”と呼ばれた。シニアでも世界最高峰の海外メジャーの舞台に立ちたい気持ちも強い。

その一方で、「1年でも長く戦いたい」というこだわりを持ち続けてきたレギュラーツアーの出場権がある中で、出場しないことにも歯がゆさはある。「自分のゴルフの状態がよくて全力でぶつかって歯が立たないなら諦めもつきますが、調子が悪い中でというのがね…」

昨年、一昨年に比べればゴルフの状態はやや上向き。「日本プロ」の途中までは上位戦線に名前を残せていたが、4日間を通したときに本来のゴルフとはかけ離れている。シニアの試合と重なっていない時や秋以降にはレギュラーで戦う気持ちは持っているが、歯切れの悪さもある。

「けっこう体もしんどいですし、ゴルフもこんな感じですから、レギュラーにこだわる必要もないかなと。(レギュラーをあきらめることに)どうなのっていう自分もいるし、それもいいんじゃないという思いもあります。悩ましいんですよ、53歳は」。プロ生活30年を過ぎたベテランが岐路に立っている。

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