<シモーネ・アジアパシフィックカップ 事前情報◇17日◇ポンドック・インダGC(インドネシア)◇6806ヤード・パー72>

AGLF(アジア・ゴルフ・リーダーズ・フォーラム)が主催の招待試合「シモーネ・アジアパシフィックカップ」がきょう開幕を迎える。3日間54ホール・ストロークプレーの個人戦に加えて、2人1組のチーム戦も実施。16カ国44人が出場するが、渋野日向子は妹の暉璃子(きりこ)さんとペアを組んで戦う。


「私より30ヤードは飛ぶ」と渋野が話す妹の暉璃子さんは、明治大学2年生のアマチュアプレイヤーだ。今大会はアジアのアマチュアゴルフ界を盛り上げることも趣旨の一つであることから、将来プロゴルファーを目指す妹を指名した。

アマチュアとしてプロのトーナメントに初めて出場する暉璃子さんは、一度フォロースルー側にクラブを出してから行う素振りや、アドレスから振り抜きまでのスイングの雰囲気、アプローチの仕方なども姉とよく似ている。それでいて飛距離は姉以上とポテンシャルの高さを感じる。これまでその名があまり知られていなかったのが不思議なくらいだ。

暉璃子さんはプロを目指すジュニアゴルファーとは少し違う道を歩んできた。渋野の4学年下で2003年1月生まれ。6歳の頃、姉・日向子の練習についていったのをきっかけにゴルフを始める。クラブを握った年齢は早かったが、小学生時代は姉同様ソフトボールに没頭していた。

中学入学後は、「ゴルフをしたり、勉強をしたり」と机に向かう時間が増えた。ジュニア時代から活躍していた姉とは少し違い、ゴルフへの熱はそこまで高くはなかったのである。ちなみに書道もやっており「師範免許ぐらいは取ったと思います」。姉に匹敵するほどだ。

「将来は警察官とか公務員になりたかったんです」。高校はゴルフ部のない地元の県立高校に進学。「(ジュニア競技の)成績は何もないです」と目立った活躍もない。明治大学はスポーツ推薦ではなく、自己推薦で入学。人生で初めてゴルフ部に入部した。仲間と切磋琢磨しながら腕も磨き、団体戦のレギュラー選手にまで成長。「卒業後はプロテストを受けます」と、今ではプロゴルファーを目指すようにもなった。

暉璃子さんの目標が変わり始めたのは2019年。渋野が「AIG全英女子オープン」を制してからだ。当時高校2年生だった暉璃子さんは英国に帯同して、姉の歴史的快挙を目の当たりにした。スポットライトを浴びる姉の姿を見て、「ちょっとゴルフをやってみようかなと思いました」と刺激を受けたのである。

自身のゴルフの持ち味は「飛距離」と話す。「トレーニングとかはそんなにやっていないのですが、ソフトボール時代の貯金でやっていますね」とドライバーの平均飛距離は260ヤード。メジャーチャンピオンの姉は「この人は小学生の時からずっと飛んでいた。今までは“負けんように”って思っていたけど、もう無理だなと思って最近は開き直っています」と話すほど、飛ばす才能を持っている。

ただゴルフは飛距離だけではない。暉璃子さんのベストスコアは「69」。伸びしろしかない。今回の姉の誘いにも「いい経験になるかなと思って」と出場を決意。プロのトーナメントに加えて、海外での競技に出場するのも初めて。練習ラウンドでは「ラフがふわふわしていて沈みやすいので、あんまり入れたくない」と、熱い地域に多いティフトン系の芝質の難しさを感じている。

「リディア(・コ)もいるし、(キム・)ヒョージュとかスゴイ選手がいる。なかなかそういう中で戦うことはないと思う」と渋野も経験値の上積みに期待する。まだ粗削りな部分もあるが、プロの道を目指す19歳にはインドネシアの3日間は大きな影響を与えそうだ。(文・小高拓)

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