「AIG女子オープン」(全英)で初めて海外メジャーに挑戦した藤田さいきは予選落ちを喫した後、珍しくほかの選手のプレーを見たという。チョン・インジ(韓国)、渋野日向子らを外から見て感じたのは「優勝争いをしている上位選手は打つまでに気持ち悪さがない」ということだったと言った。


その渋野にとって、6月以来となる米国本土の戦いは2戦目も予選落ちとなった。原因は2戦とも同じで2打目の縦の距離感とショートパット。特にグリーン上の2メートル前後が大きく足を引っ張った。

ロングパットの距離感は合っているだけにもどかしい。もっと言えば、ティショットはこの2試合も状態はいい。だからこそ、「あそこで入らんかったらどうするんだよ、というのも2、3回あった」という前週から、「考え方を変えました」とメスを入れて今大会に臨んだのだが結果は伴わなかった。

前週から短いパットほど「カップを見てしまう」きらいがあった。顔が上がれば当然、芯でインパクトするのは難しくなる。分かっていても、入れたい気持ちが先走る。逆にその気持ちを抑えようとすると、打つまでのリズムがいつも通りではなくなる。この塩梅が非常に難しい。それは決まらないほど悪循環にハマっていく。

案の定、カットラインが気になる位置からスタートした2日目のスタートホールで80センチを外してしまった。「焦りというか、もう、落胆。返しがけっこうショックでだいぶ引きずった」。気にしていた部分だからこそ、ズルズルと引きずってしまう。前半だけでバーディはなく、3ボギー。冷静さを欠いているように感じた。

だが、後半に入るにつれて落ち着きを取り戻してきたように見えた。3番の2メートルのパーパットは“いつもの”渋野日向子のリズムに見えた。それでも、その後のバーディチャンスはなかなか決まらない。そうこうしているうちに残りは2ホールとなった。

迎えた8番パー3。ティショットはグリーンをオーバー。そして奥のラフからのアプローチは2メートル残った。ここまでバーディパットをずっと外している距離。もう予選通過は絶望的な状況だった。それでも焦らずにいつものようにラインを読み、いつものようにゆったりとルーティンに入ると、いい転がりでカップに収まった。そして、この次の9番で残り92ヤードからベタピンに付けて、この日最初で最後のバーディを奪ったのだ。

この8番のパーパットは最終ホールにつながっただけでなく、復調のきっかけとなりそうだ。なぜなら、パーパットを振り返ったときにこう言ったから。

「自分のラインにだけ集中したのがよかった。ボールの行き先は見なかった」

カップを見すぎてしまっていた段階、ラインに集中しようとして距離感がつかめなかった段階を経て、ラインと距離感の打ち出しに集中する段階へと来たのだ。これを徹底できればあとは読みだけという段階に入れるだろう。

ここまでショートパットを外してきたのも、「こういうのを決めないとアメリカでは戦えない」という思いが強すぎたからだと思う。ミスしても予選落ちでも前を向くのは大事なこと。それでも、たまには“下を向く”のも悪くないはずだ。(文・秋田義和)

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