<CMEグループ・ツアー選手権 初日◇17日◇ティブロンGC(米フロリダ州)◇6556ヤード・パー72>

米国女子ツアーは1月から始まった長いシーズンの最終戦を迎える。CMEグローブポイント上位60名が米フロリダ州に集まり、優勝者が“年間女王”のタイトルを手にする。出場する60名のポイントはリセットされてゼロからスタート。米国男子ツアーのようなストロークハンデがないため、全員に平等にチャンスがある。


となると、日本人初の年間女王への期待も高まる。日本勢は過去史上最強のメンバーと呼び声が高い、畑岡奈紗、古江彩佳、渋野日向子、笹生優花の4人が出場するからだ。シーズンを通してWOWOWで解説を務めてきたプロコーチの石井忍に、4人の今シーズンの戦いをもとに、今大会の展望を聞いた。

まずは4月に米ツアー6勝目を挙げて、シーズンポイントランキング10位で最終戦に臨む畑岡。昨年大会の決勝ラウンドでは「64」を2つ続けてトータル22アンダーまで伸ばしたが、当時世界No.1だったコ・ジンヨン(韓国)の前にわずか1打差で敗れた。ジンヨンはいま調子を崩しており、畑岡が本来の力を発揮すれば、優勝候補筆頭と言ってもいいだろう。

「今年は黒宮幹人コーチがついて、ショートゲームに力を入れ、クラブ選択も含めてバリエーションに幅が出てきました。そこら辺が少しずつ形になってきて、4月にカリフォルニアで優勝。メジャーで最終日に追い上げて上位に入っています。しっかりとしたスイングのベースもあるし、安定感があります」

畑岡の今季のメジャー成績を見ていくと、「全米女子オープン」こそ、最終日に「74」を叩いて28位タイに終わったが、「シェブロン選手権」では最終日に「67」を出して17位、「KMPG全米女子プロゴルフ選手権」では最終日に「69」を出して5位タイ、「アムンディ エビアン・チャンピオンシップ」では最終日に「66」を出して15位タイ、「AIG女子オープン」では最終日に「68」で回って7位タイと、しっかり上位に食い込んでいる。

しかし、畑岡の悲願であるメジャー制覇にも今年も届かなかった。「調子が悪くてもそんなに失敗はしないし、逆にもっとトライすれば良かったと思うときもある。今年は1勝したし、いつもの安定した畑岡さんにも見えるかもしれません。でも彼女のなかでは大きなチェンジがたくさんあって、そういうものが身になってきているし、最後に勝ってほしいという気持ちはありますね」と石井は話す。初日から良いポジションにつけられれば、優勝争いに絡んできそうだ。

次はルーキーシーズンながら7月の「トラストゴルフ・スコティッシュ女子オープン」で米ツアー初優勝を挙げた古江。日本勢では畑岡に次ぐシーズンポイントランキング16位で最終戦を迎える。

「2022のルーキーは、タイのアタヤ・ティティクル、混獲のチェ・ヘジン、古江さんも含めて、自国のツアーではトップで活躍してきた。つまり各国のツアーが成熟して実力をつけてきた証でもあります。そういう意味では、日本人選手がアメリカで通用するのがわかって、『私も挑戦したい』というムーブメントのきっかけの年になるのではなかと思います」

古江は日本でもそうだったように米国でも安定感を発揮。26試合を戦って、予選落ちはメジャーの3試合だけしかない。ブレない強さをみせた。「自分のストロングポイントをちゃんと理解して、維持して、磨いて、というのが明確なので、ボギーが先行しても焦らないし、終わってみれば、真ん中ぐらいまで順位を上げている試合が多々ありました」。

また米ツアー自体を楽しんでいることも古江の強さの秘訣でもある。「現地でラウンド解説をしている片平光紀さんが言っていたんですけど、アメリカの空港に向かっているだけで楽しいらしいです。好きこそ物の上手なれではないですけど、楽しみながら良くなっていっている感じがますよね」。スコットランドでは最終日に「62」を出して逆転優勝。最終戦でも笑顔でバーディを重ねていく古江が見られるかもしれない。

3番手は昨年の「全米女子オープン」で優勝して、渋野に続いて日本人メジャー優勝者に名を連ねた笹生。シーズンポイントランキング27位で最終戦に臨む。「シーズンの序盤は良かったんですけど、中盤くらいからだんだん予選落ちが続きました」。今年、笹生は開幕から2戦で、6位、3位と好スタートを切ったが、4月に入ってから予選落ちが目立ち始めた。しかし、直近の4試合では2位、8位、51位、13位と調子を上げてきている。

「ここに来て単純にスイングのコンディションが良くなってきているように見えます。いまフェアウェイキープ率は137位ですが、シーズン後半だけを切り取ると、ある程度フェアウェイをキャッチしてきている。前週の最終日は14分の10で、ドライビングディスタンスは288ヤード。飛ばしのアドバンテージが目立ってきています」。今シーズンのドライビングディスタンスは274.64ヤードで5位。米ツアーでも屈指の飛ばし屋が最終戦で今季初勝利を掴みにいく。

そして最後は渋野日向子。シーズンポイントランキングは34位と日本勢では一番下だが、メジャーの「シェブロン選手権」と「AIG女子オープン」(全英)ではそれぞれ4位タイと3位、「ロッテ選手権」では2位と、いくつかの試合で優勝争いに絡み、印象に残るプレーをみせた。予選落ちが続いても突然として上位にくる渋野らしいジェットコースターのようなゴルフは米国でも健在だ。

石井も「最終戦で誰を推すかって聞かれれば、見ていて面白いから、期待という意味でも渋野さん」と話す。「スイングをすごくいじっているように見えますけど、コースに入ったらしっかり自然とコースに向き合っています。スイングの調子が良ければ、アグレッシブで気持ちはピンだから、全部ピンに飛んでいきますよね。スタートダッシュできると最終戦勝利も見えてくる」と注目する。

四者四様のゴルフで最終戦も見どころは満載だ。「畑岡さんはちょっと前に行って最後追い込んで、古江さんはずっと安定した感じで、渋野さんは先行していって前にいるタイプ。笹生さんはよくわからないですね(笑)。最後にみんなでワッと出てきたり。それぞれ個性があって面白いですよね」。史上最強の日本勢4人が年間女王に向け、いよいよティオフを迎える!

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