<ダンロップフェニックス 最終日◇20日◇フェニックスカントリークラブ(宮崎県)◇7042ヤード・パー71>

賞金ランキング1位らしい“横綱ゴルフ”を見せた。2位に2打差の単独首位から出た比嘉一貴は、1イーグル・5バーディ・ボギーなしの「64」をマーク。2016年にブルックス・ケプカ(米国)がマークしたトーナメントレコードタイとなるトータル21アンダーまで伸ばして、逃げ切りで今季4勝目。通算6勝目を挙げた。シーズンは残り2戦。賞金ランキング2位の星野陸也との差を7425万円に広げ、賞金王戴冠に大きく前進した。


「(後続に)常に2打以上は離そうとは意識していた。追いかけてくる選手に隙を見せちゃいけないと心がけた」。有言実行できる技術、メンタルを持ち合わせているのが今年の比嘉だ。

2番、3番でそれぞれ6メートルを沈めて連続バーディ。バーディが欲しい7番パー5は、ティショットがアゴの高いフェアウェイバンカーにつかまったが、129ヤード地点にレイアップして、3打目を2メートルにつけてバーディ。8番パー4は2打目がガードバンカーにつかまったが30センチに寄せて“お先パー”。そして難度の高い9番パー4は、161ヤードの2打目を7番アイアンで1メートルにつけてスコアを伸ばすとリードを3打に広げて折り返した。

後半に入って、「ミト・ペレイラが伸ばしてきたので油断できなかった」と後続組をケアしながら、1オンの狙える短いパー4の13番では、20ヤードのガードバンカーからカップインさせてイーグル。「あれは楽になりました」と振り返る。その後もボギーをたたく気配すら感じさせずに迎えた18番パー5は“鉄壁のマネジメント”を見せる。

2位のミト・ペレイラ(チリ)に2打のリードを持って迎えたティショット。比嘉が手にしたのは24度の4番ユーティリティ。「2打以上のリードがあったら、左のフェアウェイバンカーに届かないクラブで、3打目で100ヤード残す打つ予定だった」と255ヤードほどで入るバンカーに入れないプランを立てた。

「今日一番いいショットが打てた」とフェアウェイをとらえると、2打目は5番アイアンでマネジメント通り、残り101ヤード地点へ。3打目を55度のウェッジで2メートルにつけてバーディ締め。ミトがバーディ、比嘉がボギーなら並ぶ状況だったが危なげなくバーディを奪って勝ち切った。

比嘉がゴルフを始めた小学生の頃にテレビ中継を見て憧れた舞台。「(シーズン残り4戦は優勝賞金)4000万円が続くので、そのうち2つ優勝したいという気持ちがあった。1番勝ちたいフェニックスで優勝できてよかった。憧れの大会に勝てて達成感があるし、光栄です」と白い歯を見せた。

この日のピンチの場面を聞くと、しばらく考えて「特にピンチはなかったのですが…、10番(パー4)のファーストパットが20メートルぐらいあって上り。久しぶりにこの距離を打つのでちょっと考えることがあったぐらい」。そこもしっかり2パットで収めている。

サウナ仲間で賞金ランキング3位の堀川未来夢は「今の一貴は強い。優勝争いしたくない選手。昨年よりひと皮もふた皮も向けています」とその成長ぶりに驚く。今週はドライバーショットに不安があったがアイアンショットでカバー。得意のアイアンについて比嘉は「ミスはだいぶ減ったかなと思いますし、フェード、ドローとけっこううまく打てるようになったのでコントロール面で上達したかなと思います」。スイング、クラブ、考え方すべての面においてレベルアップのために考えた結果。「今はこれだけやっておけば大丈夫というのがある」と球数を打たなくても調子を落とさない自信がある。

この優勝で賞金レースは独走。次戦で単独8位以内に入れば賞金王が決定する。年間獲得賞金も史上5人目の2億越えも近づく優勝となったが、表彰式で一番の笑顔を見せたのは「宮崎牛一頭」の副賞をもらったときだ。2015、16年大会で連覇を遂げたケプカはこの副賞が欲しくて戻ってきたというほどのもの。「牛一頭って何キロなんですかね。冷蔵庫に入らないので分割してほしい。家族が喜ぶのでうれしいですね」とケプカ並みの喜びを見せた。

シーズン序盤から「賞金王」を口にしており、海外ツアーの予選会出場も視野に入れていたが翌年に回して今年は国内に専念した。悲願のビッグタイトルまであと少し。その前に家族にビッグプレゼントを届けられた。(文・小高拓)

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