国内男子ツアーの今季最終戦、「ゴルフ日本シリーズJTカップ」は44歳の谷原秀人が連覇達成。谷原は今年6月にプロギアと用品契約を結んだが、ヨネックス、ミズノ、ボーケイと他メーカーのクラブもバッグに入っている。毎週のようにドライバーのシャフトをテストし、コースや天候によってウッドやアイアンを入れ替えるだけでなく、シーズン終盤にはアイアンのヘッドに鉛を貼りバランス調整を行っていた。


■未発表の『VENTUS TR RED』はどんなシャフト?

ドライバーから見ていくと、プロギアの『RS F』にフジクラの『VENTUS TR RED』が挿さっている。このシャフトは未発表モデルだが、谷原は「フェニックスから入れています。振りやすくて、前の『VENTUS RED』だと左に行っていたんですけど、それがなくなった」と話す。日本シリーズでのフェアウェイキープ率は71.43%で全体4位。ヘッドで飛距離を出し、シャフトは方向性アップにつながっている。

そもそも『VENTUSシリーズ』には『BLACK』と『BLUE』があるが『RED』はツアーのみの供給で市場には出回っていない。フジクラの男子ツアー担当、田浦俊平氏に聞くと、「色の違いはキック(しなる)ポイントが違っていて、一番手元なのが『BLACK』で『BLUE』、『RED』とキックポイントが先にズレていきます。『VENTUS TRシリーズ』は『VENTUSシリーズ』よりも、それぞれが1ランクずつ締まってしっかりしている。フレックスは同じでもちょっと硬くなる印象ですね」と教えてくれた。

『VENTUS TRシリーズ』は現在、『BLUE』しか発売されていないが、今後は『BLACK』や『RED』も発売される可能性がある。『VENTUS TR RED』は女子ツアーではドローヒッターの上田桃子が使っていて、ツアー終盤の好成績に貢献した。

谷原はフェードヒッターとして多くの勝利を挙げてきたが、19年より吉田直樹コーチのもとでスイング改造に着手し、ドライバーでもドローを打つようになった。「以前はクラブが切り返しで立っていたのが、いまは立たなくなりました。それで、フェードだけでなくソフトドローをノーマルに打てる感じです」と吉田コーチ。さらに、「去年、谷原プロは2勝しましたけど、形としては1勝の今年のほうが上手くなっている。スイング自体は向上している」と44歳の進化を感じている。

■寒くなってアイアンのバランスをD2.5→D5に

次はアイアン。4番アイアンはやさしく飛ばせるヨネックス『EZONE CB 702 フォージド』、5番は『PRGR 01』、6番からPWは『PRGR 00』のコンボとなっている。初日と2日目は4、5番ともにヨネックスが入っていたが、3日目から5番をプロギアに変更した。プロギアの男子ツアー担当、中村好秀氏にその理由を聞いた。

「ヨネックスだと飛びすぎてしまったようで、3日目と最終日は未発表の『PRGR 01』に変更したようです。最終18番パー3で使わないからですね。飛ばしたいときはヨネックス、止めたいときはプロギアと使い分けています。『PRGR 01』は『PRGR 00』よりも1段階やさしい感じです」と中村氏は教えてくれた。

谷原はコースや天候によってクラブセッティングを頻繁に入れ替える。日替わりなことも珍しくないという。「実は7番ウッドも作っていて、風向きの予報によって4番アイアンを抜いて7番ウッドを入れることもあります。開幕前日の水曜日までに使う可能性があるクラブを準備するのが毎週のルーティン。たとえば、5番ウッドが自分が思ったよりも飛んだりすると、『0.5度ロフトが寝ているヘッドはないですか?』とか。毎週そうやってクラブを用意しています」(中村氏)。

そして、アイアンには写真のようにべったりと鉛が貼ってある。実はこれは11月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」から。「寒くなったのもあって、アイアンのバランスがD2.5だったのを全部D5にしたんですよ。同じタイミングで48度と53度のウェッジはD4に合わせていて、59度だけは軽くてD1くらいです。いろいろな打ち方をするタイプなので」と中村氏。

バランスとはクラブを振るときに感じる重さ。総重量が同じでもバランスが重いほうが振り心地は重く感じる。谷原は終盤の4試合、振り心地のまったく違うアイアンでプレーしていたことになる。日本シリーズ最終日のパーオン率は88.89%で全体1位だった。

■ミズノの48度はアイアンと同じ流れで打ちやすい

ウェッジのロフトバリエーションを見ると、セットのPWはノーメッキにして、48度、53度、59度となっている。しかもPWはプロギア、48度はミズノ、53度と59度はボーケイと3メーカーが混在しているのだ。実はこのミズノの『T22』は谷原自身がドバイのゴルフショップで「顔がいい」と購入したもの。それをリシャフトして使っている。『T22』はボーケイよりもヘッドサイズが小さく、アイアンの流れで打ちやすいという。

ミズノのツアー担当、田中祐太郎氏は、「谷原プロはバンスが多い感じはするという話をしていて、ノーメッキでバンスを落とした物をお渡しもしています。でも、48度はフルショットするから、バンスが多くてもそこまで影響がなかったようで、購入されたウェッジを使っていますね」と話す。

谷原のグリーン周りを支える59度は、『SM8』のときの『ボーケイ ウェッジワークス』の60度のTグラインドでロフトを1度立てて使う。タイトリストのツアー担当、岩国誠之氏は「Tグラインドはモデルの中でソールが一番狭くて、後ろもがっちり落ちているので開きやすい。開いたときにピタッとくるモデルで、今年の春先から使っています」という。バンスが少ないので、大きく開いてフワッと上げたり、様々な状況に対応できるが、その分、刺さりやすくて難しい。高い技術が必要な超上級者向けのウェッジとなっている。

■エースパターに緑色のカーボンをリシャフト

最後はパター。谷原はスコッティ・キャメロンのマレット型のセンターシャフトをもう10年以上使っている。2012〜14年には3シーズン連続でパーオンホールの平均パット1位に輝いており、それに貢献したのもこのパターだった。当時と違うのはシャフトが緑色のカーボンシャフト、LA GOLFの『P-SERIES-SOHO GR』にリシャフトしたことだ。LA GOLFのシャフトはブライソン・デシャンボーやダスティン・ジョンソン(ともに米国)も使う。

谷原は「スチールシャフトよりも距離が合いやすいですね。シャフト自体が硬いので余計な動きをしない」と気に入っている。エースパターをも思い切ってリシャフトする決断が連覇につながった。

【谷原秀人の優勝クラブセッティング】
1W:プロギア RS F(9.5度/VENTUS TR RED 6X、45.5インチ)
3W:プロギア RS(15度/VENTUS TR RED 7X)
5W:プロギア RS(15度/VENTUS TR RED 8X)
4I:ヨネックス EZONE CB 702 フォージド(21度/AMT TOUR WHITE S400)
5I:プロギア PRGR 01(DG EX TOUR ISSUE S200)
6I〜PW:プロギア PRGR 00(DG EX TOUR ISSUE S200)
48度:ミズノ T22(DG EX TOUR ISSUE S200)
53度:ボーケイ SM9 5208(DG EX TOUR ISSUE)
59度:ボーケイ ウェッジワークス(DG EX TOUR ISSUE)
PT:スコッティ・キャメロン プロトタイプ(LA GOLF P-SERIES-SOHO GR)
BALL:タイトリスト PRO V1x(23年モデル)

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