昨年、ツアー3勝を挙げてメルセデス・ランキング3位に入った岩井明愛のセッティングを分析。アマチュアの参考になる点はどんなところかを、フィッター兼クラフトマンの吉田智に聞いた。


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ほとんどのシャフトを中調子系そろえているのが明愛プロの特徴。ドライバーの『レクシスカイザM』やアイアン『N.S.PRO 950GH neo』も含めて中調子で統一されています。彼女はトップが深くタメを大きく作ってリリースしてドローを打っています。トップから切り返しが比較的ゆったりしているため、中調子が合いやすいのだと思います。反対に千怜プロのように切り返しが早い選手は、手元が硬い先調子を好むといえます。

中調子シャフトでそろえると当然振り感が統一されるので、フィーリングが狂いにくくなります。意外とプロの中でもシャフトの振り感がバラバラな選手も見られるので、こういったセッティングの統一感が彼女の強さの秘密とも言えます。

5番アイアンが2本入っている点が注目ポイントですね。飛び系モデル『EZONE GT』の5番(ロフト21度)と、軟鉄鍛造『EZONE CB511』の5番(ロフト25度)で、ロフトは4度の差があります。『EZONE GT』の5番アイアン(4番相当)はいわばユーティリティ代わり。直ドラが打てるほど上からヘッドを入れる技術を持っている明愛プロは、 アイアンを好んで使います。ユーティリティよりもヘッドがより小さいアイアンの方が上から打ちやすいのでしょう。

ただ、『EZONE GT』の5番アイアンは、シャフトに『レクシスカイザi 8S』という先調子モデルを使用しています。しなり戻りやすいカーボンシャフトで先端が動きやすい。球が上がりづらい4番アイアン相当の番手では、ロフトが立ったヘッドで前に飛ばして、シャフトで球を上げたいという意図が見えますね。

しかも、このカーボンシャフト『レクシスカイザi 8S』はすごく硬いんです。だから、ハードヒッターの明愛プロが、アイアンセットのスチールシャフトと組み合わせても、違和感なく振れる。ヘッドが暴れないカーボンシャフトで、ラインを出しているのだと思います。苦手番手だけ異なるシャフトを使うのは、アマチュアにも参考になる工夫だといえますね。

【岩井明愛のギアセッティング】
1W:ヨネックス EZONE GT タイプS(9度/レクシスカイザM 5S、45.5㌅、D0)
3W:ヨネックス EZONE GT(15度/レクシスカイザM 6S、43㌅、D0)
5W:ヨネックス EZONE GT(18度/レクシスカイザM 6S、42.3㌅、D0)
5I:ヨネックス EZONE GT(21度/レクシスカイザi 8S、39㌅、D0)
5I〜PW:ヨネックス EZONE CB511(N.S.PRO 950GH neo S、37.3㌅、#7=D1)
50,54,58度:ヨネックス EZONE W 501(N.S.PRO 950GH neo、35㌅、58度=D2)
PT:テーラーメイド スパイダー ツアーX
BALL:スリクソン Z-STAR XV

■岩井明愛
いわい・あきえ/2002年生まれ、埼玉県出身。22年に双子の妹、千怜がツアー2勝を挙げて脚光を浴びたが、23年に初優勝を含むツアー3勝を挙げて一気にブレイク。同年のドライバー平均飛距離は5位の257.88ヤードを記録する飛ばし屋。岩井千怜は双子の妹。Honda所属

■吉田 智
よしだ・さとし/クラブメーカーを経て「プレミアム ゴルフスタジオ」(渋谷区)でフィッターを務める。アマチュアだけでなく多くのプロからも信頼され、これまでに女子ツアー5勝、ステップ・アップ・ツアー1勝、シニアツアー1勝をサポートしている

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