暑い夏の日のゴルフ。プレーが上手くいかなかったり、ラウンドの流れが良くなかったりすると、思わずイライラとしてしまう人もいるだろう。試合中に、唯一選手への助言が許されているキャディが考える怒りの鎮め方とは。宮里藍の専属キャディを務めたこともある元プロキャディで、現在某ゴルフ場でハウスキャディとして働いている小田美奈さんに聞いてみた。
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車の運転と同様に、「本当の性格が出る」といわれるゴルフというスポーツの中で、「イライラ」は思わず抱いてしまう感情です。そんなイライラをコントロールすることは、集中した良いプレーをする上でとても重要です。

プロゴルファーの中にも、自分自身のイライラした気持ちがそのまま態度に出てしまう人はいます。クラブを地面に叩きつけたり、放り投げたり、キャディに当たり散らしたり…といった、あからさまな感情表現は、良くないとの風潮もあって最近ではあまり見なくなりました。しかし、そういったプロの態度に不快感を覚えたギャラリーの方もいたのではないでしょうか。

実際、私自身も目の前でクラブを折られたり、軽くではありましたが蹴られたりという経験があります。大勢のギャラリーの前で頭を叩かれているキャディの姿も見たことがありますし、取りに行くのが難しい場所にクラブを投げ捨てられて、キャディが泣いたという話を聞いたこともあります。

態度に出てしまったそのイライラは、組全体を嫌な雰囲気にします。当然、同伴競技者には喜ばれませんし、そんな雰囲気の中では自分の気持ちを立て直すことも難しくなります。そこで必要なのが、アンガーマネジメントと言われるもの。つまり、怒りをコントロールすることです。

イライラを抑えるためにまず必要なことは、その理由を考えることです。自らのミスによるものなのか、それとも前の組が遅いといった外的要因によるものかといったことです。まず理由を理解しておかないと、イライラは積もりがちなもの。不満が新しいミスを呼び、より一層不満が募るという悪循環に陥ってしまう人も少なくありません。

理由がわかれば、まずはその状況になった原因を考えます。自らのミスによるもの、例えばショットの結果が悪かったのであれば、なぜ悪かったのか、どんな打ち方をしたのか、距離や風などの読みは合っていたのか…。そういった原因を考える時間が、イライラを抑えるためにはまず必要です。

自分のミスに対して怒ることは、良いプレーをすることに対して必ずしも悪い作用ばかりするものではないと私は思っています。怒るということは、自分のプレーに集中できている証拠でもあり、良いプレーへのきっかけになることも少なくないからです。

前の組が遅い、コースの状況が悪いなどの外的要因であれば、気持ちを切り替えたところでその状況は変わらないことが多いので、がらりと考え方を変える必要があります。

コースの状況が悪い場合は、目標スコアを下げる、今回は練習と割り切る、こういった状況だからこそ新しいことを試す…といったように、その状況を受け入れてしまうことが必要になります。

ゴルフに集中しようとしても、待つことでどうしても途切れてしまう場合は、打つとき以外にゴルフについて考えないことも大切。同伴競技者と会話をする。景色を見る。難しい状況をどう受け入れるか、待つ時間をいかに過ごすか…といったことも、ゴルフというスポーツの難しさ、そして楽しさなのだと私は思います。

自分の感情をコントロールできるのは自分自身だけ。ラウンド中に思わずイライラしてしまう人は、まず自分に合った怒りの鎮め方を見つけておきたいものです。

■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝をサポート。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。