■「完璧にこなせてこそ、デキるオトナ」と勘違いしていませんか?
「デキる男は、彼女も持ち物もすべて“一流品”を」
「仕事も家庭も、すべてを理想を手に入れたカリスマ主婦に学ぶ」

こうした「カンペキな成功」「カンペキな幸せ」の記事にグッとくることが多くありませんか? そんなあなたは、完璧主義者的傾向が強い人かもしれません。

完璧主義者は、まじめで努力家であるため、一見とても有能に見えます。しかし、その有能さが遺憾なく発揮されるのは、あくまでも「短期的な局面」でのこと。長い人生のなかでは、この性向が自分自身の能力を阻み、苦しくしていることも少なくありません。

なぜなら完璧主義者は、思わぬ失敗や挫折に合ったときにストレスをためやすく、極端な「○×思考」に走りやすくなるからです。

たとえば、がらっと職種を変えて一から出直してみたくなったり、恋人との関係をご破算にしたくなったり、周りにいる「できない人」を徹底的に否定したり……。このように、完璧主義に偏りすぎると、積み重ねてきた実績をうまく生かせず、人生を“ほどよく”楽しめなくなることもあるため、要注意なのです。

■完璧主義者が、会社で長続きしないわけ
私が会社員だった頃を振り返ると、完璧主義な人ほど、周りの皆がびっくりするほどあっけなく会社を辞めていくことが多かったように思います。なかには、途中からうつ気味になって辞めていった人もいます。

では、なぜ完璧主義な人はなぜ有能なのに簡単に会社を辞めたり、心を病むほど自分自身を追い込んでしまうのでしょうか? 端的にいえば、多くの仕事に完璧主義は合わないからです。

期末試験や受験勉強のように、限られた場面では「完璧主義」は有効かもしれません。しかし、仕事は想定通りに実行できるわけではないことの方が多いものです。

予算や人員数、時間の限界、スタッフの能力の限界、会社の上層部や顧客の都合、タイミング……。このように、いくつもの壁に阻まれ、努力が水の泡になってしまうことの方が、成功の数より数倍も多いのが現実ではないでしょうか。
■仕事における「オトナ」の条件とは?
仕事における「オトナ」とは、前ページのような「現実」をよく理解できている人ではないかと思います。

そして、一つひとつの失敗や挫折によって自分自身や周囲の人、環境などを全否定せず、「そういうこともあるさ」「仕方がない」とうまく受け流せる人ほど、「オトナ度が高い」と言えます。

このような「オトナ」は、仕事上の多くのストレスを自然にかわすことができるため、一つの仕事を息長く続けることができます。失敗や挫折に捕らわれないため、また新たな発想が湧き、新しい可能性を見出す余地があるのです。

今まで続けてきた仕事をささいなことで「中退」しなければ、長い期間のうちにはまたいくつかのチャンスが訪れます。そのとき、チャンスをうまく生かすことができれば、いずれは何らかの形で必ず成果が得られるのです。

■「こだわりどころ」は全体の2割程度でよい
仕事における「オトナ」を目指すには、自分自身の完璧主義的性向を見つめなおすことが大切です。

完璧主義な人は、「自分の仕事は、きちっと完璧にできないとイヤ」と自分を追い込んでしまうことが多いでしょう。

しかし、自分にとっての「こだわりどころ」は2割程度と考え、残りの部分は多少気に入らない部分が残ったとしても深い追いしないことが大切です。たとえば、10ある仕事のうち、労力や気合いを傾けて行う仕事は2つ程度。残りは周りにサポートを求めたり、なるべく時間をかけずに終わらせるなどの、メリハリをつけることが必要です。

大部分の「どうでもよい」ところに捕らわれず、自分にとって大きな満足感や幸福感をもたらしてくれそうな少しの部分に意識を傾けていけば、自分自身がもっともっと発展していきます。

大部分を完璧にしようとして自分を苦しくするのも、無駄な部分に捕らわれずに受け流すのも自分次第。あなたなら、どちらを選びますか?

大美賀 直子