■目には見えない、「我が家の弱点」とは!? 〜その一瞬が命取り〜
ニオイはどこからやってくる? …モワーン「ウッ!」

よその家にお邪魔して、まっ先に「感じちゃう」のは、建材の高級感でもステキなインテリアでもましてや住人のおしゃれ具合でもなく……ニオイ! とにかく「ニオイ」に尽きます。

そう……鼻が詰まってでもいない限り、一瞬で判断できてしまう、ニオイのグッドorバッド。どんなにスタイリッシュな家でも、クサけりゃ台無し! でも、住まいのニオイって一体何が原因なの!? クサくない家にする秘訣は? 

というわけで、今回は「住まいのニオイ」についてサクサク掘り下げてみましょう!

■住まいのニオイの原因は? 〜人はニオイに「疲労」して「麻痺」する!〜
住居内における臭気の3大発生源とはすなわち、「トイレ」「浴室」「台所」だそう。

トイレ・・・便器、床、壁、排水トラップ
浴室・・・床、壁、棚、排水トラップ
台所・・・調理、生ゴミ、シンク、排水トラップ、シンク下、食器棚、冷蔵庫、コンロ、電化製品

などなど。「確かにニオう…」。誰しも思い当たるフシがある場所。
加えてニオイがちなのが「玄関」「押入」の2か所。

玄関・・・げた箱、靴
押入・・・ふとん、洋服、防虫剤、壁

まあ、思い当たりやすい、それだけに、「お掃除強化ポイント」としても意識されやすい場所でもあります。

なのに、なぜニオうのか? ニオイの源はかくも多々ありますが、実はそれぞれのニオイ自体は、案外たいしたことはない薄いものであることがほとんどです。

例え「トイレ」とはいえ、くみ取り式でもない限り(また、汲み取り式でも最近の強力な換気扇がついていればさほどのニオイにはなりません)単独でニオイたつ悪臭には、限度があるのです。問題は、この「トイレ」「浴室」「台所」「玄関」「押入」+α(タバコ、建材、家具、鉢植、空調、暖房、子ども…ペット…エトセトラ)から漂う、住まいのニオイは複合化するという点!
 
あらゆるニオイは混じり合って「その家のニオイ」として意識化されるのです。そう、こんなふうに…

「家のニオイっていえばさー、独特なその家のニオイってあるよね〜」
「そうそう、それに引っ越しても引っ越しても、同じニオイがするの、不思議〜」
「アレって何だろうね? 家の芳香剤?」
「服って言うか? 風呂って言うか? 下水っていうか?」
「そ〜そ〜」

…つまり、確かにニオっている 。でも何がニオっているのか!? という主原因を特定しづらいところが住まいのニオイ問題の根底にはあるのです。加えて、

「でもさ、自分ん家のニオイってわかんなくない?」
「あっわかんなーい。でも人ん家のニオイなら分かるの〜」
「あれも不思議〜」

という、
「自分の家のニオイはわからない」
問題が…。そう、住んでいる当人たちは既にニオイに慣れ、麻痺し、ニオうのかニオわないのかよく分からないのです。

ただ、ニオイを新鮮に、他人の鼻で感じる機会はたまにあります。

旅行などで数日家を空け、戻った瞬間・玄関を開けて数分の間が「その時」! その数分間だけは、他人の鼻(嗅覚)で冷静に「我が家がニオうか、どうか」を判断できるはずです。ツンとするような、香ばしいような、湿ったような、腐ったような、甘いような? そのニオイ。いかがでしょうか? 自分の家のニオイ、明らかに悪臭ですか? もしも悪臭だったら…。大変なことになっているかもしれません!

■ニオイは衛生に反比例する 〜不衛生な家ほどよくニオう〜

「トイレ」「浴室」「台所」「玄関」「押入」+αの、ニオイ5源泉。いずれにおいても、それぞれの場所でバクテリアやカビ(混同されがちですがまるで別の性質を持つ微生物です)がエサとなる有機物を分解する際に出る臭気がニオイ(悪臭)を発生させる主原因です。

「衛生的」かどうか、突きつけられる場所。 つまりそれぞれが「繁殖している」という事実は、一般に「あること」を意味します。それは、「住まいが不衛生である」ということ!ショックを受けざるを得ませんが、古今東西汚い家ほどよくニオうのは避けられない事実。だからこそ、人は住まいのニオイを嫌い、恐れるのです。 

我が家に「悪臭」が漂っているということは、すなわち住まいのどこかが著しく不衛生な状況に置かれているということ。単純な「綺麗/汚い」の例には漏れるかもしれませんが、昨今問題視されているシックハウス症候群の原因となる化学物質の「悪臭」も、衛生的でない=不健康さを表出しているといえます。

■こんな住まいはニオイに注意! 〜マンション、ペット、高齢者〜

また、衛生面の不備のみならず、その住まいがニオイやすいか否かをはかるバロメーターがあります。

以下の15項目の質問に○×で答えてみてください。
○が5つ以上ある場合は要注意! 気付いていないのは住人だけで、来客は誰しも玄関先で一瞬顔をしかめている…可能性が濃厚です。

1.毎日6時間以上家を閉め切りにして出かける。
2.トイレ掃除の頻度は、多くても週1回。
3.浴室の換気扇は、回しても1日2〜3時間だけ。
4.玄関の靴収納には、滅多にはかない靴が多数しまわれている。
5.押入れには、何が入っているのかよく把握していない。
6.たまに、生ゴミを捨て忘れることがある。
7.排水口や、下水溝の掃除は嫌いで、あまりやりたくない。
8.家の老朽化やメンテナンスの不備が気になっている。
9.(種類を問わず)ペットを飼っている。
10.家族のいずれかが、体調が悪く寝込みがち。
11.一戸建てではなく、マンション(集合住宅)だ。
12.エアコンや暖房器具はよくかけるほうだ。
13.日当たりは良くないほう。
14.比較的、鼻が悪くてニオイには鈍感だ。
15.家族のうちにお年寄りがいる。

とりわけニオイやすい住まいの形態は、一にも二にも「マンション」だといわれます。その理由は、多くの「カビ」にまつわる注意点とかぶるので、注意が必要です。要は、機密性の高さと換気性の低さが、昨今の住まいに関わる問題の多くを内包しているということです。

また、高齢化が進む中、「高齢者住宅」における臭気にも注意する必要があります。特に独居老人の住まいで、住まいのメンテナンス(掃除など含め)が行き届かず、また建物自体の老朽化も進んでいるなどが原因で家の中にニオイ(悪臭)がたちこめているケースが多いそう。

「加齢臭」などという言葉が一時、注目されたりしていましたが、住まいの臭気の場合やはりダイレクトに「衛生面」に関わってしまうため、家族にお年寄りがいる場合は、若い家族ができるだけ気をつけて、文字通り「鼻を利かせる」必要があるかもしれません。

■ニオわない住まいにするには!? 〜むしろ良い“香り”の住まいを目指す〜

住まいのニオイに対する対症的な対策(消臭・脱臭法)には、主に次の5つが挙げられます。

1.換気法(臭気と清浄な空気とを交換する。排風機、送風機、換気扇、窓を開けるなど)
2.吸収法(物理・化学的吸収剤を噴霧)
3.吸着法(活性炭、空気清浄機フィルターなど)
4.触媒反応法(オゾン脱臭触媒など)
5.生物学的方法(人工酵素など)

加えて

6.感覚的消臭法(芳香剤を置くなど)

もありますが、これは根本的なニオイ対策にはなりません。場合によっては元のニオイと相まって更なる悪臭の原因になってしまうこともあるので使用する際には、注意が必要です。

掃除をしたら、とにかく「換気」。 さて、「対症的な方法」と上記の5項目を挙げましたが、現実的に、一般の家庭で日常の範囲内でできることは 1)換気法 と 3)吸着法 になるでしょう。(それ以外の方法は、消臭・脱臭の専門業者に委ねたほうが無難だと思います。)更には、できるだけ「ニオイ自体を発生させない」工夫や心がけが必要になることでしょう。

「トイレ」「浴室」「台所」「玄関」「押入」+αのニオイ5源泉の衛生(掃除)を徹底することがまずできる第一のこと。そしてニオう前から換気を頻繁に行い、ニオイそうな場所に「炭」「重曹」などのニオイを吸着する自然な物を仕込んでおくのが、第二の工夫(心がけ)です。

いずれも基本的かつ単純でありながら、即効性があるニオイ対策。そして…できればワンランク上の“香り”の域に住まいを持って行きたいもの!

元々、日本人は香りに敏感。茶道や華道と並ぶ「香道」が存在するなど、(お線香を含めて)「お香」を焚くことを日常とし、人々は心の平安や豊かさを感じていました。

近年、人気のあるアロマテラピー(アロマセラピー)も、“香り”を住まい(暮らし)に取り入れ、活かしたいという要求を満たしてくれる、ひとつの方法です。いずれの良い“香り”も「活かす」ためには、もともとのニオイ(悪臭)を追いやって住まいのニオイをフラットに整えることが必定! かく、「クサい住まい」が、しゃれたインテリアを整えたところで画竜点睛を欠くのは確かですから、ある意味、逆のことも言えるのではないかと思います。

すがすがしい住まい、清々しい香り…。 そう、たとえ、小さくて質素で古くあっても、“芳しい”住まいは、玄関を入ったその一瞬にお客さんに「分かる」のです。「清潔で、よく手入れされていて、住人に愛されているステキなおうちなのだな」と。

その“芳しさ”は、時に炒りたてのコーヒーの香りであり、焼きたてのパンの香りであり、炊き立てのご飯の香りであり、替えたての畳の匂いであるかも知れません…。手折り飾ったばかりの花の香りかも…。
…すなわち、住まいのニオイとは、「住まい手の生きかたそのもの」とも言えるのかも知れませんよ!

藤原 千秋