■人は「批判」を受けながら成長していく生きもの
突然ですが、あなたは「批判」に強い方ですか? 人は生きているうちに、さまざまな「批判」にさらされます。日頃からそれに慣れていないと、突然、批判の洗礼にさらされたとき、かなりのストレスを受けてしまいます。そして、急激に自信を失ったり、これまでの活動に懐疑的になったり、批判した人に対する怖れや憎しみを抱いてしまうことが少なくありません。

批判に強くになるには、その捉え方を一度じっくり検討してみる必要があります。批判は、すべてが悪意に満ちたものではなく、新たな気づきを与えてくれる貴重な見解であることが多いからです。身近な例でいえば、子どもたちはマナーやルールに反する行動をしたときに、周りの大人から「それはおかしいよ」「そんなことをしてはいけないよ」と批判され、それを元に自分の行動を修正することによって成長していきます。このように、人は批判をその都度を参考にし、自己の行動を修正していきながら、社会に適応にして生活しているのです。

■批判を回避し続けているとどうなるか?
そもそも人間は、自分自身、あるいは自分がアウトプットした物事を第三者的に眺めることができません。だからこそ、他人の批判を参考材料にすることで、自分の行いや成果を多角的に検討することができるのです。

しかし、批判の多くは、耳の痛いものです。批判されたら誰でも多少のショックを受けますし、そのストレスで深く傷ついてしまうこともあります。したがって、人はつい批判する人や批判される環境から、距離を置いてしまうものです。そして、優しい言葉や甘い言葉をかけてくれる人、自由に行動させてくれる人とばかり交流を持とうとし、批判にさらされるリスクを回避しようとしてしまいます。

こうしたぬるい環境で長い期間生活した後、厳しい「批判」の環境に移ると、批判によるストレスを非常に強いものに感じてしまいます。賞賛に浴してきた優等生がハイレベルな学校に進学した途端、批判にさらされて動揺したり、甘い親や教師の下で育った若者が、就職後上司から厳しく批判され、ショックで出社できなくなってしまうのは好例です。

そうならないためにも、人は日常の中でさまざまな批判に触れ、批判とのよい付き合い方を身につけておく必要があるのです。では、「批判に強い人」なるためには、どうしたらいいのでしょう?

■「批判」に強い人になるために必要なこととは?
「批判」に強い人になるために必要な前提――それは、受けた批判をメタな視点から捉えることです。これができれば、批判の言葉の意図や批判の意味にまで思いを馳せることができますが、できないと、その都度批判の言葉に振り回されて傷つき、ストレスを引きずってしまいます。批判をメタな視点から捉えたうえで、さらに次のように行動することが必要です。ポイントを解説しましょう。

■1.? 批判を「フェア」と「アンフェア」に分ける
批判には、「フェアなもの」と「アンフェアなもの」があります。前者の特徴を大まかに言えば、「修正・改善できるもの」です。たとえば、「姿勢が悪いわね」と批判された場合、自分の行動次第でそれを修正することは可能ですね。一方、「鼻が低いわね」と批判されても、それを修正することはできません。このように、修正可能なものについての批判はフェアですが、修正できないものについての批判はアンフェアです。その判断を瞬時にできるようにしておきましょう。

■2.? 「どの視点」に基づく批判なのかを検討する
多くの批判は、発言者の信じる何らかの視点を基準にして展開されます。たとえば、インフォーマルな場で展開される批判は、「“大人なら”この程度の知識は常識」「“親なら”このように子どもに接するべき」というように、大方、発話者ならではの物の見方や価値観に基づいて伝えられるものなのです。したがって、他人の批判を受け取ったときに、「この人はどのような視点で私の言動を捉えているのか?」「なぜそれを私に勧めようとするのか?」など、さまざまな角度から検討してみましょう。

■3.? 批判を鵜呑みにせず、具体的に質問する
2について検討していると、「なぜその人はその視点を持っているのか?」「その視点で他人を批判する意味とは?」など、さまざまな疑問が生じてくるはずです。その疑問をぜひ批判者にフィードバックしてみましょう。たとえば、「大人ならこの程度の知識は常識」と言われたときには、その批判を鵜呑みにせず、「“大人なら”って言うけど、その“大人”ってどんな大人?」と具体的に聞いてみることです。納得できる回答が得られない場合、相手は明確な基準を持たずに、なんとなく批判しているだけなのかもしれません。

■4.? 何を採用し、何を捨てるかを判断する
納得がいかないなら、批判を必ずしも受け入れる必要はありません。たとえば「○○はダメだ、○○すべきだ!」と批判され、その意図を質問しても回答に納得がいかない場合には、必ずしも相手の言うとおりにする必要はないのです。もちろん、場をまるく収めるためには、表面的に相手の意見に従う方が都合のいい場合もあるでしょう。しかし、その批判を自分の行動指針として採用する必要はないのです。

――上記のように、批判は捉え方、対処の仕方一つで、自分を活かすものにも殺すものにもなります。社会の中で常にさまざまな批判にさらされて生きる私たちには、相手の言葉に呑み込まれず、批判を「自分を活かす材料」に用いるくらいのしたたかさが必要です。ぜひ、批判を受けたときには臆病にならずに、堂々と批判の意味を確かめ、採用に足りる意見かどうか、積極的に検討していきましょう。

大美賀 直子