■現代人が恋愛できない理由
「恋愛できない現代人が増えてきた」と言われています。そこには、もしかしたら親子関係(特に母親との関係)も原因にあるのかもしれません。

「愛着障害」という心の病気があります。これは、子供時代に親(主に母親)との関係がうまくいかず、満たされなかったことで、大人になってからも、様々な場面で症状が出てしまう病です。例えば、虐待、育児放棄のほか、逆に過保護や過干渉によって心理的支配をされて育てられた場合(精神的な虐待)にもなりやすい病です。

では、なぜ残念な親に育てられると、心の病気になってしまうことが多いのでしょうか? それは、人にとって「(親と)愛着を持つこと」が、安心感や健康の土台になっているからだそうです。

「愛着障害」なんて病名がついてしまうと、多くの人が自分とは無関係のことに思いがちですが、実は、愛着障害の症状に当てはまる人は意外と多いものです。

例えば、恋愛において、下記のような傾向はありませんか?

・人と深く関係を築くことができない(人に甘えられない)。
・パートナーからメールの返事がすぐに来ないと不安になる。
・必要以上にパートナーを束縛してしまう。
・パートナーに依存し過ぎで、いつもフラれてしまう。

こういったことが当てはまる人は、どこか愛着障害なところがあるのかも知れません。実は、スティーブ・ジョブズ、A・ヘミングウェイ、夏目漱石、太宰治、三島由紀夫……といった人たちも、深刻な愛着障害を抱えていたと言われています。上記の傾向がある人が少なからずいるところから見ても、愛着障害は身近な病です。つまり、本人の自覚あるなしに関わらず、程度の差こそあれ、“隠れ・愛着障害”の人は意外と多くいるのかもしれません。

「愛着障害」は、“現代の恋愛におけるキーワード”といっても過言ではないのです。

ただ、ここまで読んで、「自分は愛着障害なのだ」と絶望する必要はありません。愛着障害は、治らない病気というわけではないからです。

■自分が“隠れ・愛着障害”の場合、どうする?
自分が“隠れ・愛着障害”だと思ったとき、どうしたらいいのでしょうか?

『愛着障害の克服〜「愛着アプローチ」で、人は変われる〜』(岡田 尊司著・光文社刊)には、こういったことが書かれています。

愛着障害の人は、子ども時代に満たされなかった大きな欠落を抱えている。その克服は、ある意味、子ども時代を取り戻し、そこでできなかった甘えを甘え直し、やりそこなった子どもらしい体験をやり直すことかもしれない。

つまり、自分が母親との間で築けなかった愛着(絆)をきちんと築いていくことが大事なのです。愛着の安定化を目指す上でベストなのは、母親との関係を修復することではありますが、相手が“毒母”の場合は、相手が変わらないと難しい問題でもあるので、むしろ関わらない方がいいこともあります(現実的に、子供が愛着障害の場合、母親をカウンセリングすることで、症状が治まることもあるようです)。

その場合は、自分を受け止めてくれる「安全基地」となる存在を作ることが大切です。父親、親戚、恋人などがそういった存在になってくれるのがベストですが、難しい場合は、才能ある心理カウンセラーがそういった役割を果たしてくれるでしょう。愛着障害の傾向がある人が恋愛のパートナー選びをするときは、特に気を付けなくてはいけません。単に上っ面の条件(ルックス、社会的地位、年収など)を見るのではなく、もっと深く人の魅力を判断できるようにならないと、ますます心を傷つけられてしまう可能性があるからです。

先ほどの本によると、「安全基地」に適している相手は、下記のようなタイプだそうです。
(1)接していて、怖さや危険な感じがなく、安心できる。
(2)穏やかで、気分や態度がいつも一定している。
(3)目線が対等で、見下したような態度やおもねりすぎる態度をとらない。
(4)優しく親切だが、必要なときには、言いづらいことも言う。
(5)相手の意思や気持ちを尊重し、決めつけや押し付けがない。

自分は愛着障害の傾向があると思う人は、特にこういう人をパートナーにすることを心がけた方がいいでしょう。実は、ここで挙げられている「安全基地」に適した人というのは、正直、恋愛でもモテるし、いい妻(夫)、いい母親(父親)にもなりやすいものです。だから、「自分は愛着障害ではないけど、どうも異性からモテない」という人も、こういう精神が安定した人になることを目指してみることは大切です。

また、「恋人が愛着障害だ」という人も、自分が「安全基地」になる覚悟が必要です。その場合、具体的にどんなことができるようになった方がいいでしょうか?

■最愛な人の「安全基地」になるには?

愛着障害の人は、自分の苦しみを分かってほしいし、大切にされたいと願っています。だから、相手の「安全基地」になろうとする人は、相手をきちんと受け止められる人になることが重要です。愛着障害には、不安型や回避型など、色々な種類があり、それによってアプローチの仕方は変わりますが、共通しているところもあります。先述の本では、こういったことが書かれています。

(相手が)求めているときに、求めていることを返すという応答は、安全基地の大原則である。求めれば、すぐそれに応えてもらえるとき、本人はわかってもらえていると感じ、相手への親しみや安心感、信頼を覚える。

逆を言えば、相手が求めていないのに、おせっかいを焼く人、また相手が困っている話をしたときにすぐに問題を解決しようする人は、安全基地にはなり得ません。相手はそうされることを求めているわけではないからです。
また、答えを見つけることよりも、本人が問題に向き合い、自分で答えを出せるようになることが重要なのだそうです。それが相手の成長にもつながるのでしょう。

相手と会話をするときには、下記のようなことができるようになるといいそうです。

・相手の言葉に「合いの手」をきちんと入れる。
・相手の声の調子、表情、仕草に自分を合わせる(相手が低い声でゆっくり話しているなら、自分も合わせてみる)。
・自分が答えを与えるのではなく、相手が自分で答えを出すように、「どんな」「どう」といった曖昧な質問をしながら、相手が自分なりの答えを見つけられるように手伝う。

これらは、「安全基地」になるためだけではなく、一般的なデートの場面でも有効とも言えるでしょう。特に初デートでは、話し上手よりも、聞き上手の方が相手から好感を得られることも多いものです。つい自分のことばかり話しすぎてしまう人も、ぜひ、参考にしてみてくださいね。

■母親になる人は、子供を守る覚悟を持って!
子供を産む女性の年齢が20〜30代中盤が多いということは、精神的に大人になり切れていないまま母親になってしまうことも多いのかもしれません。母親も自分のことでいっぱいいっぱいだからこそ、子供が理不尽な思いをしたり、愛情不足な環境に身を置いたりしてしまうこともあるかもしれません。

もちろん、完璧な家庭、完璧な母親なんて、ほぼ存在しません。ただ、子供を守る覚悟がない人は、子供を産まない方がいいでしょう。それでは、自分も子供も、そして周りの人も不幸にしてしまうからです。重い愛着障害の症状がある人は、大人になっても不安定な心を持て余して、日々を過ごしています。自分の子供を、そんな風に苦しめてはいけません。

婚活をしている女性の中には、「寂しいから」「子供を産み育てないと、なにか人生において不足しているように感じるから」「老後が心配だから」などという理由で、子供を欲しがっている人もいます。でも、子供はあなたのために生まれてくるわけではありません。子供には子供の人生があります。本当に愛せる覚悟、守る覚悟を持ってから、子供を産む決意をした方がいいでしょう。

また、もし今、婚活をしている人の中で、「私も愛着障害の傾向があるかも」と思う人は、いい結婚をするためにも、さらに自分もパートナーも幸せになるためにも、治すことが大切です。専門書を読んだり、実際に心理カウンセリングを受けたりして、どうか克服してくださいね。心の病となると、自分には関係ないと思う人は多いのかもしれませんが、心だって風邪をひくこともあります(※例えです)。どうか、身体だけではなく、心も大切にしてくださいね。

出典:『愛着障害の克服〜「愛着アプローチ」で、人は変われる〜』(岡田 尊司著・光文社刊)?

ひかり