■共働き夫婦のNG家計は主に5パターン
ガイド平野は、共働き夫婦からの家計管理についての相談を数多く行っています。ファイナンシャルプランナーに相談するということは、夫婦間でも「今のままの家計管理では、まずいんじゃないか?」という思いがあるようです。

そこで今回は、相談にいらっしゃる共働き夫婦の家計管理方法の中から、「ちょっと、まずいな……」と思うパターン5つと、その処方箋を紹介します。

■パターン1:2人の関係はスマート、役割分担夫婦

相談にいらっしゃる共働き夫婦で、最も多いのがこのパターン。生活費の支出項目別に、夫と妻のどちらが負担するかを予め決めて、家計管理をする方法です。新婚生活を始める時に、分担方法を決め、それがそのまま固定化されるケースがほとんどです。

一般的に、マンションなどの家賃、水道光熱費など毎月固定的に支出する費目を夫が負担し、食材料費や日用雑貨などの生活関連の支出を妻が負担するケースが多いです。

■問題点
子どもが生まれると、固定的に発生する保育料は夫、子どもの洋服、おもちゃなどの日用雑貨などは、妻という感じで、やはり費目別の家計管理を続けようとします。しかし、追加して発生する費目は、時の経過とともに増えていくので、お互いの負担感が増してきます。

お互いに正確な収入をパートナーに伝えていないので、自分の負担感が次第に増す、相手は実は余裕があるのではないかと疑心暗鬼にもなったりします。また、相手が負担する費目の支出については無関心になりがちで、夫婦で家計を管理するという意識が希薄になりがちです。

■処方箋
支出項目別に家計を管理する場合でも、夫と妻のそれぞれが収入と支出、そして貯蓄額をきちんと記録して、お互いに伝えるようにすることが大切です。そして定期的に負担する項目を話し合い、見直すことが上手に家計を管理する秘訣です。

現在の収入と支出、そして貯蓄額を元に、改めて、お互いにどのくらいの費用を負担するか話し合いましょう。相手の支出項目とその金額(予算)を知ることにもなり、お互いに相手の支出にも関心を持つようになるでしょう。

■パターン2:見かけの家計簿は完璧、生活費精算型夫婦
「生活費は2人で平等に負担しよう」ということで、お互いに使った生活費を毎月合算して、後で自分が支払った分との差額を精算するというパターンです。後で精算する必要性から、2人もしくはどちらか一方が担当して、詳細な支出の記録をつけているケースが多いです。

精算の対象となる項目は、家賃や水道光熱費、食費など、日常生活に必要な出費と、旅行や外食など2人で行動した教養娯楽費など、夫婦で事前に決めています。

■問題点
家計簿を丁寧につけている夫婦はあまり多くないのですが、このパターンの夫婦に限っては、1円単位で詳細に家計簿をつけているケースが多いです。けれども、家計簿をつける目的が、2人の生活費の分担を精算するためなので、予算管理や貯蓄という概念が入っていません。そのため、支出が次第に多くなる傾向があります。

また、自分たちで決めた項目の支出だけを記録しているので、それ以外(自分のお小遣いなども含めて)に家計全体でどのくらい使っているかを把握することができません。

■処方箋
支出だけ記録しているものは、家計簿とは言えません。しっかり、毎月の支出を記録する習慣がついているのですから、あと、もう少し頑張って、2人の収入と今まで記録していない支出項目も記録するように心がけてみましょう。そうすると、家計全体で収入と支出、貯蓄額がわかるようになって、2人で家計管理をしていく意識が高まるでしょう。

■パターン3:2人で仲良く家計を管理? 仮面共通財布型夫婦
夫婦で予め決まった金額を出し合って共通財布(口座)を作り、そこから生活費や教養娯楽費などを出すパターンです。ガイド平野は、特にこの共通財布型をオススメしているのですが、共通財布型を採用していても上手くいかないケースもあります。

■問題点
生活費や教養娯楽費など、決まった金額を負担し合って、その分は予算管理ができるのは良いのですが、それ以外の部分は、相手に任せっきりになっていて、お互いにブラックボックスになってしまうというケースが多いです。

すると、2人でいくら貯蓄できているのか、把握できなくなってしまいます。住宅購入の頭金や子どもの出産など、ある程度まとまったお金が必要になったときに、実はお互いにあまり貯金していなかった……なんてこともあり得るのです。

■処方箋
生活費や教養娯楽費は、日々の生活や娯楽のために必要なもので、毎月の収入から賄うものです。家計の支出の中には、住宅購入資金や子どもの教育費など、毎月の収入から賄うことができない大きな支出もあります。将来の大きな支出に備えて、事前に準備する方法として貯蓄があります。

従って、共通財布型を採用する場合、将来の支出に備えた共通の貯蓄口座を作る必要があります。いくら貯蓄が必要かは、夫婦でしっかりライフプランとマネープランを立てることが前提になります。

■パターン4:人生は楽しく、ライフスタイル重視型夫婦
比較的若い共働き夫婦に多く、夫婦2人、あるいはお互いの趣味やライフスタイルを尊重するパターンです。日々の生活は充実していて楽しい反面、ある程度収入があるため、家計管理には、お互いに関心はありません。

■問題点
計画的に消費をしたり、貯蓄をしたりすることに慣れていないため、例えば、子どもが生まれ、妻が育児休職に入り、収入が一時的に減少するといった場合でも、なかなか生活水準を下げられず、家計がひっ迫してしまう可能性があります。

■処方箋
若い時期は、自由になるお金や時間もあって、人生を謳歌したいという気持ちになるでしょう。それはとても大切なことですが、実は一番の貯め時でもあるのです。出産・育児、住宅購入などの大きな出費に備えて、ある程度計画的に貯蓄していくことで、この先の家計のやりくりがずいぶん楽になります。今の生活も大切ですが、将来の生活も充実したものになるように、2人で意識合わせをすると良いでしょう。

■パターン5:家計は君に(あなたに)任せるよ、権限移譲型夫婦
夫婦の一方(主に夫)が、パートナーに一定の金額を生活費として渡し、パートナーに家計管理を全て任せるパターンです。家計管理を任せられた方は、家計簿をしっかりつけていたり、つけていなかったりとさまざまです。

■問題点
貯金をする分も含めて、一定の金額を渡していれば良いのですが、多くのケースでは、生活費分+アルファ程度を渡しています。そのため、それ以外の部分は貯金しているのか、浪費しているのか完全にブラックボックスになってしまいます。

すると、家計管理を任された方も相手が信じられなくなってしまい、自分が稼いだお金に加えて、生活費から「へそくり」を作ったりするようになります。お金に対してお互いに隠し事ができてしまい、上手にコミュニケーションが取れなくなってしまいます。

■処方箋
家計管理が面倒という理由で権限移譲する(家計管理を全て任せる)というのであれば、全額、パートナーに渡して、自分はお小遣い制にするとよいでしょう。家計管理を任された方は、自分の分も含めて、家計全体として管理をし、適宜、相手に状況を伝えるようにします。そうすると、一方の家計管理の負担が重くなりますね。できれば少しずつ役割分担して、2人で家計管理をするようにしていくことをオススメします。

■番外編:貯まり過ぎる夫婦もご用心!?
これまでは、貯まらない共働き夫婦の家計管理のNGパターンを見てきましたが、貯まり過ぎる共働き夫婦の場合でもNGということがあるのです。

■将来が不安でたまらない症候群の夫婦
これは、比較的年配の共働き夫婦に多いパターンなのですが、老後の生活費のことを考えると、老後資金の準備をしっかりしなければ……ということで、毎月の給料、ボーナスからも、相当の金額を貯蓄しているというケースです。

■問題点
老後の期間は確かに長くなっているので、老後資金を準備することは大切です。そのための貯蓄ができていることは大変素晴らしいことです。けれども、物事には「良い加減」というものがあります。老後の生活資金を準備するために現在の生活をキツキツにしすぎてはいけません。今の生活も老後の生活も同じように充実していたいものです。

■処方箋
不安に思う原因は、「老後の期間が長くて、生活費がものすごくかかる」というイメージだけが先行していて、実際にいくらかかって、どのくらいの金額を準備しなければならないか、冷静に考えていないということです。共働き夫婦が2人で貰える年金額や、老後の生活費を具体的に数字に置き換えて考えてみると、どの位のペースで貯蓄をすれば良いか見えてきます。

■夫婦で上手に家計を管理するポイントは?
夫婦の家計管理のNGパターンごとに処方箋を書きましたが、ここで、夫婦で上手に家計管理をするためのポイントを整理しておきましょう。

■STEP1:夫婦で家族の夢と目標を話し合う
子どもの教育費やマイホームの取得など、どんな暮らし方をしたいか、将来どんな夢を実現したいかなどを時期や必要な資金について、夫婦でしっかり話し合い、ライフプランとマネープランを立てる。2人と家族の将来の夢と目標を共有することが、家計管理の始まりです。

■STEP2:夫婦で自分のお金を開示する
夫と妻の両方が、お互いの給料明細を見せ合い、家計の収入を把握する。また、現在の貯蓄額についても公開する。それが夫婦で家計管理を行うための大前提。収入や貯蓄に不透明な部分がある状態で家計管理を行っても、意味をなしません。

■STEP3:家計の予算を決める
ライフプランとマネープランを実現するために、現在の家計の収入や貯蓄額から、今年はどのくらいの貯蓄をするのか、何にいくら使うのか、予算配分を決めます。夫婦で予算配分を決めれば、家計のやりくりも協力し合えます。

■STEP4:家計管理の方法を決める
家計管理と費用の分担方法は、2人の一番やりやすい方法を選びます。ポイントは、夫が管理するお金、妻が管理するお金を決め、役割分担(どこから、どの費用を分担するか)を明確にすることです。

■STEP5:2人で定期的に家計をチェック!
支出に無駄はないか、計画的に貯蓄ができているかなどを、夫婦が一緒に定期的にチェックします。2人で反省すれば、改善へのモチベーションもアップします。

皆さんは、NGパターンに近い家計管理をしていませんか? 「人のフリ見て、わが身を直す」とも言いますので、今回の記事を参考に「貯まらない夫婦」から「貯まる夫婦」にチェンジしましょう!

平野 泰嗣