■優遇税制は「貯蓄型」と「保険型」で異なる
勤労者の財産形成を目的とする「勤労者財産形成貯蓄」には、一般財形貯蓄・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄の3種類があります。住宅の取得やリフォームの資金を準備する財形住宅貯蓄と老後資金を準備する財形年金貯蓄には次のような税制上の優遇措置があります。

銀行や証券会社などの金融商品で積み立てる「貯蓄型」は、「預入額+元加利息」550万円まで非課税扱いです。生命保険や傷害保険、生命共済等で積み立てる「保険型」の財形年金貯蓄は払込額385万円まで、財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄の両方に加入している場合には合計550万円までの利子差益が非課税です。「保険型」は、保険期間中(財形年金積立保険の場合は年金開始前)に不慮の事故で死亡(高度障害)した場合、払込保険料の数倍相当額が支払われます。

人生の貯蓄の大きな目標である住宅資金と老後資金は、長期で準備するものですから、非課税扱いは最高の贈り物です。従って本来の目的や特定の理由以外での引き出しには、厳しいペナルティーが科されます。利用を誤ると「捕らぬ狸の皮算用」になってしまいますのでご注意を!

利用には要件があります。では財形住宅貯蓄から詳しく見ていきましょう。

■財形住宅貯蓄
住宅購入や新築、増改築等の資金を作るための貯蓄です。550万円までが非課税扱いです。財形年金貯蓄を同時に行っている場合は、合算して550万円までが非課税となります。

■基本的な要件
・年齢要件 : 契約締結時に55歳未満であること
・積立期間 : 5年以上。ただし、条件にあう住宅を取得する場合は、5年未満でもよい。
・積立の中断 : 2年未満に限り何回でも可能
・預け入れ先 : 1人1契約

■対象となる貯蓄
預貯金(定期預金・定期貯金など)、有価証券(国債などの公社債・証券投資信託の受益証券・金融債・株式投資信託)、生命保険、生命共済、郵便年金、損害保険などです。

■転職した場合の継続措置
転職後2年以内に転職先の事業主を通して申し出れば、転職先の財形住宅貯蓄に移し替えることができます。
■住宅資金以外での引き出す場合
(1)やむを得ない理由での払い出しは非課税
失業や多額の医療費などやむを得ない次の5つの理由で引き出す場合、税務署の確認を受けると非課税で引き出すことができます。平成29年4月以降の適用です。

理由が生じた日から11か月以内に税務署に確認の申し出を行い、理由が生じた日から1年以内に払い出しを行います。平成28年4月1日〜平成29年3月31日に払い出しを行った人は、平成30年3月31日までに還付請求を行うと還付を受けることができることがあります。詳しくは税務署のホームページや住所地の税務署で確認して下さい。

【非課税で払い出しができる5つの理由】
・本人や生計を一にする親族が所有する家屋が災害等で被害を受けた
・本人や生計を一にする親族の医療費の年間合計支払額が200万円を超えた
・本人が所得税法上の一定の寡婦や寡夫に該当することになった
・本人が所得税法上の特別障害者に該当することになった
・本人が雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者に該当することになった

(2)上記以外の理由での払い出しは課税
「貯蓄型」は、過去5年間(60か月)の利子に対し、「保険型」は解約返戻金・積立配当金の差益に対して20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)が源泉分離課税されます。

■ 財形年金貯蓄
老後の資金作りを目的とした貯蓄で、60歳以降に年金として受け取ります。財形住宅貯蓄と合算して550万円までが非課税扱いとなります。

■基本的な要件
・年齢要件 : 契約締結時に55歳未満であること
・積立期間 : 5年以上
・積立の中断 : 2年未満に限り何回でも可能
・受取り : 満60歳以降、5年以上20年以内(保険型は終身もある)年金として受け取る。
・据置期間 : 積立満了日から年金支払開始まで5年以内。
・預け入れ先 : 1人1契約保険型で非課税枠いっぱいの550万円を活用する

方法のひとつに「財形年金貯蓄で385万円、財形住宅貯蓄で165万円(=550万円−385万円)を積み立てる」があります。これで、老後の年金とリフォーム資金の一部を準備することが出来ます。

■対象となる貯蓄
預貯金(定期預金・定期貯金など)、有価証券(国債などの公社債・証券投資信託の受益証券・金融債・株式投資信託)、生命保険、生命共済、郵便年金、損害保険などです。

■転職した場合の継続措置
転職後2年以内に転職先の事業主を通して申し出れば、転職先の財形年金貯蓄に移し替えることができます。

■年金以外で引き出す場合
(1)やむを得ない理由での払い出しは非課税
平成29年4月以降は、財形住宅貯蓄と同じく次の5つの理由で払い出す場合は非課税になります。

【非課税で払い出しができる5つの理由】
・本人や生計を一にする親族が所有する家屋が災害等で被害を受けた
・本人や生計を一にする親族の医療費の年間合計支払額が200万円を超えた
・本人が所得税法上の一定の寡婦や寡夫に該当することになった
・本人が所得税法上の特別障害者に該当することになった
・本人が雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者に該当することになった

(2)上記の理由以外での払い出しは課税
「貯蓄型」は、過去5年間(60か月)の利子に20.315%が課税されます。「保険型」は、差益に対し一時所得として「(差益−50万円)×1/2」が総合課税されます。

■非課税限度額を超えると
非課税限度額を超えた場合、「貯蓄型」は、その後に生じる利子に20.315%の源泉分離課税が行われます。ただし継続は可能です。据置期間中に金利の変動により積立額が非課税限度額を超えた場合には、その時点で発生する利子全額を非課税で引き出すことができます。

「保険型」は、払込保険料合計385万円を限度とし、これをオーバーして払い込むことはできないシステムになっています。非課税枠いっぱいの550万円を活用するには、「財形年金貯蓄385万円、財形住宅貯蓄165万円(=550万円−385万円)」という方法があります。これで、老後の年金とリフォーム資金の一部を準備することが出来ます。

■マッチング拠出制度もある
勤労者が税制上の優遇措置を受けて資産を作るには「財形貯蓄」と言われていますが、老後資金作りに関しては「退職金に頼らない「老後貯金」の方法」でご紹介しました「マッチング拠出制度」も検討の価値があるものです。それは、2012年1月に導入されました。

確定拠出年金制度を導入している会社の従業員が、会社の拠出する掛け金に上乗せして給与天引きで掛け金を追加拠出する、というものです。税制上のメリットは次の3つです。 ・拠出した掛け金は小規模企業共済等掛け金控除として所得控除 ・運用中の利子は非課税 ・一時金で受け取る場合は「所得控除」、年金で受け取る場合は「公的年金等控除」引き出しは原則60歳以降なので、退職後の私的年金の準備ツールには適しています。ただし自己責任で運用しますので運用手腕によっては拠出額を下回る年金資金にしかならないこともあり得ます。

2014年6月27日厚生労働省の試算では、30年後の公的年金の給付水準が最悪50%程度になることが分かりました。2014年の給付水準は62.7%ですので、老後資金準備の必要性が高まっています。「貯蓄から投資へ」を合言葉に2014年1月スタートしたNISA(少額投資非課税制度)でも、一定の要件に該当する株式や投資信託等の運用益や配当金は非課税扱いになります。財形住宅貯蓄や財形年金貯蓄、マッチング拠出制度、NISAなど、ライフプランに合わせて資産を作るツールの選択肢が広がりました。金融商品の特徴をきちんと把握し、選択・運用する賢明さが今まで以上に求められます。ゆめゆめ金融機関のお勧めを鵜呑みにしないようにしましょう。

大沼 恵美子