歯の矯正は見た目の改善だけが注目されていますが、実は機能面も改善されるため、大人になってからの歯のトラブルを軽減する効果も期待できます。あらかじめ問題になる歯並びを知ることで回避できるトラブルをご紹介します。

■第5位:オープンバイト(開咬:かいこう)
口を閉じても上下的に数歯に渡って噛めない部分がある状態です。前歯が開咬状態の場合は、上下の奥歯が先に接触するため前歯を噛み合わせることができません。遺伝や先天的な原因の場合や、骨の発育異常、指しゃぶりが原因のこともあります。

前歯が開咬の場合、噛む力の全てが奥歯に集中することになります。このため、正常の歯並びに比べて、奥歯が過重となり歯の表面のエナメル質に微細なクラックが入って脆くなり、虫歯になりやすくなったり、過重が原因で歯周病が進行しやすくなったりします。

さらに唇を閉じたままにしにくい場合には口呼吸となり口が乾燥しやすくなるため、唾液による歯の保護作用が働かずに口臭の原因になったり、前歯が虫歯になりやすくなることもあります。

歯を矯正するだけで改善を見込めない場合には、顎の骨の形を修正するなどの手術が必要になることもあります。

■第4位:叢生(そうせい)
永久歯が並びきれず歯と歯が押し合って、歯並びが数歯に渡って凸凹している状態です。前歯や奥歯など永久歯の生えてくるスペースが足らないと歯がきれいに並ぶことができずに凸凹の歯並びとなります。

大人になってから叢生が起こっている場所は、虫歯や歯周病の好発部位となります。歯の持っている本来の形というのはきれいな歯並びの時に最高の機能となるようにできているからです。

歯並びが乱れている状態では、食べることによって自動的に汚れを落とす自浄作用の低下が起こったり、プラークが溜まりやすくなったり、歯ブラシが届かないなど虫歯や歯周病のリスクが急上昇します。

■第3位:上顎前突(出っ歯)
いわゆる出っ歯と呼ばれる状態です。上の前歯が下の前歯に比べて前方に飛び出しているように見えます。遺伝的な影響が大きいといわれています。指しゃぶりなどが原因でも起こることがあります。

歯が極端に前方に突き出ていると、転んだりして歯を強く打ち付けることもあります。この場合は歯が折れてしまったり唇を切ってしまったりすることもあります。

大人になっても上の歯が突き出していると、上の前歯の後ろの歯ぐきに下の歯の先端が接触してしまい、歯ぐきを歯で傷を付けるような状態になってしまうこともあります。 大人になって前歯の噛み合わせがしっかりしていないと奥歯の寿命が短くなる傾向があります。

■第2位:八重歯
上の歯の犬歯と呼ばれる歯が外側に飛び出した状態です。犬歯は乳歯から永久歯に生え替わる際、一番最後に生えてきますが、すでにスペースが無くなっているため、犬歯が外側に飛び出します。

上の犬歯は尖っているため、肉などを噛み切る役に立ちそうですが、実は人間では犬歯は垂直方向にはあまり力をかけて使っていません。

むしろ奥歯を横にスライドさせてすりつぶしながら食べる噛み方をした時や、歯ぎしりなどの時にほかの歯にかかる負担を軽減するガイドとしての働きが中心です。そのため横方向の揺れに抵抗できるように口の中で根が一番長くなっているのです。

犬歯が正しく噛み合わさっていないと、犬歯よりも根の短いほかの歯が横方向への動きのガイドをすることになります。そのため負担が増えた歯はやはり寿命が短くなったり、知覚過敏が起こりやすくなったりします。

■第1位:反対咬合
上の前歯が内側に入り込み、下の前歯が前方にある状態です。子どもの乳歯がこのような状態であっても永久歯が生え替わる時に治ってしまうこともあります。 逆に乳歯の時は正常でも、永久歯が生え替わる時期に反対咬合になってしまうこともあります。一度この状態になると自然に改善することはあまりありません。

大人になると噛み合わせの力が前後的に反対に働くため、歯ぎしりがある場合などに下の前歯が前方に押し出されやすくなり、その歯だけ歯周病が進行したり噛むと動揺したりしてグラグラになり上下いずれかの歯がほかよりも早く抜歯になるケースもあります。

歯の矯正は審美的イメージアップも向上しますが、機能面でも虫歯や歯周病などのリスクが下がり歯の寿命を延ばすことにもつながります。生涯的に歯の治療にかかるコストを押さえる働きもするのです。さらにこれらの効果がもたらすストレスフリーの生活のメリットもあります。

矯正は成人になってからでも行うことができるため、興味がある方は、矯正の専門家に相談することをおススメします。

丸山 和弘