警視庁の統計によると、平成27年の全国の進入窃盗、いわゆる泥棒の認知件数は、8万6373件(警視庁『住まいる防犯110番』より)。13年連続で被害は減っていますが、決して少ない数とは言えません。

一人暮らしの大事な財産をごっそり盗られてしまうことも、もちろん悔しいと思いますが、実際に泥棒の被害に遭った人に話を聞くと、「またやられるんじゃないか」「誰かが部屋のどこかに潜んでいるんじゃないか」という恐怖を感じるとも言います。そんなふうにビクビク暮らさなくてはならないのはとても悲しいこと。

被害に遭わないように、また万が一遭ってしまったらどのように行動すればいいのかを解説します。

■賃貸住宅は泥棒に狙われやすい?
一人暮らしをしている人は賃貸住宅で、特に単身者向けの部屋が中心の集合住宅に住んでいることが多いと思います。実は、この賃貸住宅、泥棒に狙われやすい要素がたくさんあるんです。

■日中、部屋を空けていることが多い
先ほどもご紹介した警視庁の統計では、進入窃盗のうち、空き巣が全体の約三分の一を占めているとのこと。

つまり、泥棒は家に誰もいないときに侵入することが多いと考えられます。単身者向けの集合住宅の場合、多くが日中は働きに出ており、建物自体に人気がなくなるため、泥棒にとって狙いやすい状態になりがちです。

■住人が顔見知りではない
最近は隣人同士の近所づきあいがあまりなく、特に一人暮らし向けの賃貸住宅では顕著です。近所づきあいの多い地域では見知らぬ顔がいると、自然と注意が払われるため、泥棒も仕事がしにくいですが、隣に誰が住んでいるのかもわからないような賃貸住宅では、その心配がありません。

■賃貸住宅は鍵の交換など対策がされにくい
賃貸住宅では大家さんの許可なく、鍵を交換したり、壁に穴を開けるような防犯グッズを使用することができません。そのため、一戸建てや分譲住宅よりも防犯対策が甘くなり、泥棒にとっては侵入しやすいと考えられます。

■管理が行き届いている部屋は狙われにくい
建物の周囲がゴミだらけ、誰が出したかわからない粗大ゴミが何カ月も置きっぱなし……は危険です。

それが泥棒と何の関係があるのかと思われるかもしれませんが、管理が行き届いていない建物は、管理人などの定期的な点検がなく、人目が少ないと予測されるということ。こういうアパートやマンションは狙われやすくなります。

あなたの住んでいるところは大丈夫ですか? 個人の心がけも大事ですので、次のようなポイントをチェックしておきましょう。

■ゴミ捨ては指定日に、正しい分別で
散らかっていたり、指定日が守られていなかったり、分別がきちんとされていなかったりするような地域は、人間関係が希薄なところだと判断されます。

社会的ルールを守らない人は近隣の住人からの目を意識してないことが多いため、お互いの目が行き届いておらず、泥棒にとっては侵入しやすい建物と考えられるのです。「みんなもやっているからいいや」と思わず、ゴミは指定日に、正しい分別で捨てましょう。泥棒だけでなく、放火の原因にもつながりやすくなります。

■ベランダと、その周囲にはなるべく物は置かない
「一階は防犯上不安、二階以上が良い」と言いますが、住んでいるのが二階以上だからといって安心はできません。高いビルは人目にもつきにくく、屋上から簡単に入ることができるため、あえて高層階を狙う泥棒もいるとのこと。

部屋を探す段階から見ておいてほしいことですが、ベランダに昇ってこられるような物(木・物置・他の建物など)があると、泥棒が侵入しやすくなります。動かせるものなら、できるだけ遠ざけて。

また、ベランダには目隠しになるようなもの(植物や大きな物干しなど)は置かないようにしましょう。泥棒に隠れる場所を与えることになってしまいます。

■旅行中の新聞はきちんと止める
泥棒が留守かどうかを確認するときにはポストを見ると言います。ポストからはみ出すくらいに、郵便や新聞が溜まっていると、留守だと泥棒に教えていることに。数日でも忘れずに新聞を止めるようにしてください。また、ポストを見るのが面倒で溜めっぱなしというのも不在と誤解され、危険です。

■窓や玄関は補助錠やブザー、ライトなどで対策
泥棒は短時間で済ませるため、補助錠がついている部屋への侵入は諦める傾向があります。また、人目につきやすくなる音や光も嫌がります。

賃貸住宅は大家さんの許可なく鍵を交換してはいけないとお伝えしましたが、部屋の鍵が簡単に開けられるタイプのものであるならば、大家さんにまず相談を。どうしても許可してもらえないときは、無理やり開けると鳴るブザー、人が通ると点灯するライトなどを玄関につけるのも効果的です。最近は賃貸住宅向けにネジや釘などを使わずに設置できるタイプのものも増えています。

また、侵入経路は玄関よりも、むしろ窓の方が多いそうです。窓につけられる補助錠や、ガラスの破損や振動によって鳴るブザーなどもつけておくと安心です。

■一人暮らしにおすすめの防犯グッズ
防犯・防災グッズ販売店まめたん(2017年現在閉店)店長、有富かおるさんに、一人暮らしにおすすめの防犯グッズをご紹介いただきました。

■窓用の補助錠
窓用の補助錠として大切なのは、窓の上部に装着するタイプの補助錠を選ぶこと。空き巣などは、自分の頭上での作業を嫌う傾向にあります。

対策としておすすめなのが、補助錠+アラームでのW対策です。窓ガラスが開くとアラームが鳴り出すマグネットタイプの窓用アラームを併用すると良いでしょう。
■ドア用アラーム
一人暮らしの女性の場合は、ストーカーにより合鍵を作られたりする犯罪(ストーカーだけでなく、前住居者や、リフォーム会社、場合によっては管理会社等が合鍵により侵入するという犯罪も存在します)も防げるものがおすすめです。

■人体感知ライト
人体感知ライトは、設置方法と電源供給の部分で賃貸には不向きだったのですが、乾電池で使えて配線不要、両面テープやマグネットで設置できるものが増えています。

■部屋にいるときでも泥棒はやってくる
泥棒は不在時だけにやってくるわけではありません。「居空き」「忍び込み」など人がいても平気で入ってくる泥棒もいます。

・居空き:家人が家にいるときに入ってくる手口。
・忍び込み:深夜寝ているところに入ってくる手口。

空き巣の被害件数が最も多いことは確かですが、「家にいるから大丈夫」という油断から、つい窓やドアの鍵を開けっ放しにして昼寝などしていませんか。家にいるときも戸締りは絶対に忘れずに。

■万が一、泥棒に入られてしまったら

■まずは警察へ連絡を
もしも泥棒に入られてしまったら、たとえ部屋がめちゃくちゃな状態になっていても、そのまま手を触れず、まずは警察に連絡をしてください。

また、万が一帰宅したときなどに鉢合わせしてしまったら、お金よりも命が一番大事。無理に取り押さえようなどとせず、その場は言われたとおりにする方が身のためです。

外国人による窃盗も多いです。組織的な犯罪であることが多く、言葉も通じないために、出会い頭に殺されてしまうなどという凶悪なものもあります。例えば、部屋に入る前に不審な物音に気がついたような場合は、部屋には入らず、少し離れた場所から警察に連絡を入れましょう。

■加入している火災保険を確認
賃貸住宅を借りるときに加入していることが多い火災保険には、盗難なども補償されることがあります。自分の入っている保険を事前に確認しておきましょう。

河野 真希