■結局いくらかかるの?弁護士費用
『過払い金請求で勝ちたいなら、弁護士か?司法書士か?』という記事でも説明しましたが、私個人としては、過払い金返還請求は弁護士に依頼すべきであると考えています。

ですが、いざ頼もうと考えたときに気になるのは、「弁護士に依頼したら、結局全部でいくらかかるの?」ということだと思います。確かに、弁護士に払う費用は、ファーストフードの値段表のように明確に示されているわけではありませんので、依頼者の方々にとって重要なわりに非常に分かりにくいのが現状でしょう。

そこで、今回の記事では、過払い金返還請求にかかる弁護士費用について説明したいと思います。

■弁護士費用にも色々な種類がある
一口に弁護士費用と言っても、実はその内容は多彩。相談料、着手金、報酬金、手数料、タイムチャージ、実費など、様々な種類があります。

以下、過払い金返還請求を依頼する際にかかる主な費用である、「着手金」、「報酬金」、「実費」の3種類について、それぞれ見ていきましょう。


■最初に支払う「着手金」ってどういう意味?
「着手金」とは、事件の結末が成功か不成功かという結果に関わらず、事件を委任した最初の時点で支払う報酬のことです。さらにいえば、仮に事件処理が成功しなかったとしても、返還されないのが通常です。

弁護士がまだ何も仕事をしていない段階で支払うことになるので、支払う意味がわかりにくいかも知れません。依頼者と弁護士との間でもその認識の食い違いでトラブルになってしまうこともあるようです。

ですが、事件終了後に報酬金を受けられるまでの間、事件の処理には半年や1年、ときには数年という長期間を要してしまうことも多いので、着手金はその間の弁護士の活動の対価として重要な意味を持っています。ですので、私も着手金を頂戴する一弁護士として、その点は何卒ご理解いただきたいと思っています。

ちなみに、着手金は、後述する報酬金とはまったく別物ですので、報酬の前払いではありませんし、字面が似ているからといって「手付金」という意味でもありません。着手金は、まだ過払い金が返還されていないときに支払わなければならないので、依頼者にとっては多少負担となってしまいますが、その代わりに分割払いもOKとする事務所も多いようです。

■着手金額の設定は弁護士によりけり
過払い金返還請求の着手金をいくらとするか、について具体的なルールはありません。ですので、法律事務所によって、弁護士によって、色々な設定がされています。例を挙げますと、

・返還請求をする消費者金融会社の社数×1社当たり◯◯円、というように、相手方の数に比例した額とする方法
・着手金の額を低めに設定し、過払い金が返ってきた最後の時点で支払う報酬金を多めにする方法
・ひとまず着手金0円として、終了後に報酬金と着手金を支払う方法

などです。着手金に差があったとしても、報酬金で調整するなどしているため、全体としてかかる費用が弁護士によって大きく異なる、ということは少ないようです。

■弁護士1000人に聞いてわかった「着手金」の相場は?

日本弁護士連合会(通称「日弁連」)は、日本で弁護士活動をする弁護士が必ず加入しなければならない団体です。この日弁連が2008年に、日本全国の弁護士約1000人に対して、次のようなアンケートを取りました。

「消費者金融10社に対して合計400万円の借金があったが、訴訟の結果、借金がなくなった上に200万円の過払い金が返ってきた、という事案で、あなたは着手金・報酬金をいくらもらいますか?」

これに対する、着手金についての回答は、1社当たりいくらと定める弁護士が多く、約70%の弁護士が10社で10〜20万円前後としたとのことです。

ですので、おおむね「着手金=消費者金融会社の数×1万〜2万円」という設定が多いのだと思われます。

■最後に支払う「報酬金」には上限額が決められている
「報酬金」とは、受任した事件の終了後、成功の程度に応じて支払う報酬のことです。着手金とは別途必要となる弁護士費用です。

過払い金返還請求の報酬については、日弁連が「債務整理事件処理の規律を定める規程」という長い名前のルールを作成しています。そこでは、次のように報酬金を3種類に分けて、それぞれの上限額を規制しています。

1つめは、「解決報酬金」です。これは、業者との事件が解決したこと自体により発生する報酬金です。日弁連のルールでは、原則として、消費者金融1社あたり2万円以下(商工ローンの場合は5万円以下)でなければならないと規定されています。

2つめは、「減額報酬金」です。これは、業者が主張する借金額と実際に支払うことになった借金額との差額(減額分)をもとに算定する報酬金です。例えば、100万円の返済を請求されていたけれども、それまでに20万円を利息として払い過ぎていたために、借金が差し引き80万円に減ったという例だと、20万円が減額分となるわけです。日弁連のルールでは、減額報酬金は減額分の10%以下でなければならないと規定されています。

3つ目は、「過払金報酬金」です。これは、回収した過払金額をもとに算定する報酬金です。日弁連のルールでは、訴訟によらないで回収した場合は回収額の20%以下、訴訟によった場合は回収額の25%以下でなければならないと規定しています。

以上を踏まえると、例えば「A社に50万円の借金があったが、訴訟の結果、借金がなくなった上に20万円の過払い金が返ってきた」場合、報酬の上限額は

解決報酬金=2万円
減額報酬金=50万円×10%=5万円
過払金報酬金=20万円×25%=5万円
⇒合計12万円

となります。

■弁護士1000人に聞いてわかった「報酬金」の相場は?
もちろん、日弁連のルールはあくまでも「上限額」を定めたにすぎないので、弁護士がすべてこの金額に設定しているわけでなく、これよりリーズナブルな事務所はいくらでもあります。

「10社に対して合計400万円の借金があったが、訴訟の結果、借金がなくなった上に200万円の過払い金が返ってきた」という事案に対する、報酬金についての回答は、回収額の10〜20%を報酬金と定める弁護士が多く、回収額200万円の20%に当たる40万円前後、と答えた弁護士が約35%で最多だったそうです。

ですので、上記のような報酬の区分はさておき、「報酬金=回収額×約20%」程度の設定が比較的多いのだと思われます。

■意外と侮れない「実費」って?
最後に「実費」です。これには、事件処理に必要な、収入印紙代、郵便切手代、交通通信費等が含まれます。

実費は弁護士が受け取る報酬ではありませんが、着手金や報酬金とは別途に、依頼者の方に負担していただくことが多いため、依頼を検討する際には重要な判断要素となります。

例えば、訴訟を起こして過払い金返還を求める場合、収入印紙と郵便切手を裁判所に納める必要がありますが、これも実費となります。

収入印紙は、返還を求める金額に応じて必要な額が決まっており、50万円の請求だと5000円、100万円の請求だと1万円、200万円の請求だと1万5000円の収入印紙が必要となります。また、郵便切手も、訴訟の最初に裁判所に納める必要があります。東京地方裁判所の場合ですと、原告1人に被告1人の場合は6000円、いずれかが1人増えるごとに2000円増額、などと決められています。

これら実費の支払時期や支払方法については弁護士との契約によって決まるので、一概にいえない部分が大きいのです。

■最後は思い切って弁護士に聞いてみよう!

現在、弁護士報酬の設定は、原則として弁護士の裁量に委ねられています。そのため、過払い金返還請求ひとつとっても報酬の定め方は十人十色といえます。

ですので、この記事で説明したことはあくまで傾向や一例にすぎず、その他にも様々な報酬基準の定め方があることを、何卒ご了承下さい。

今は、法律事務所のウェブサイト上で費用が明示されていることも多いですので、いくつかの事務所のサイトを比較検討するのもよいでしょう。ただし、着手金は低いものの、代わりに報酬金が高い、などということもありますので、やはり直接、電話相談や対面相談で費用の見積もりを聞いてみるのが確実といえるでしょう。

法律事務所とコンタクトを取ることについて、敷居が高い、面倒くさい、と感じられるかもしれませんが、初回相談料がかからない事務所も多いので、依頼を検討している方は勇気を持って相談の予約をすることをオススメします。

奥山 光幸