■6月から7月にかけて猛毒の「ヒアリ」が各地で見つかる
強い毒を持つ南米原産の「ヒアリ」が国内で相次いで見つかり、政府や自治体が対策を急いでいます。国内で最初にヒアリが見つかったのは5月26日で、中国広東省の港から神戸港を経由して兵庫県・尼崎市に輸送されたコンテナの内部で発見されました。

6月から7月にかけては、大阪や名古屋港でも見つかりました。ヒアリは攻撃性が強く、刺されるとやけどのような激しい痛みを感じるそうです。強いエネルギー反応であるアナフィラキシーショックを起こした場合、最悪、死に至ることもあるそうです。ヒアリはその後、東京でも見つかり、収束どころか、拡大の一途をたどっている感じです。

■ヒアリ駆除に政府も対策に乗り出す
菅義偉官房長官は7月7日の記者会見で、ヒアリの防除に政府として対策を講じる考えを示しました。

対策は時間との戦いになっています。女王アリを含む集団が移動し、緑地帯や砂地に移動すると、そこで営巣ができてしまい、さらなる繁殖の可能性が高まるからです。港湾などの「水際」で防ぐことが重要なのですね。菅長官は同日の会見で「ヒアリの繁殖、定着を示す証拠はない」、「早期発見、早期防除に万全を尽くしたい」ともしていました。

海外でもヒアリは猛威をふるっています。例えば、オーストラリア政府はヒアリの駆除に10年間で約360億円を充てる方針を決めたそうです。人を刺すだけでなく、家畜や生態系にも影響を与えることを懸念しているそうです。オーストラリアでは2001年に発見され、その後爆発的に繁殖し、全土に広がったそうです。

■「ヒアリ関連」株に注目が集まる、関連株をピックアップ
こうしたことを受けて、株式市場でも関連銘柄が物色されています。ヒアリ対策に特別の対応は必要なく、殺虫剤や駆除を行なう手法がとられています。ヒアリ発見を受けて、報道によるとアリ用殺虫剤などの商品の出荷量は6月中旬から下旬に関西圏で2倍になっているそうです。ヒアリ対策に貢献する企業は、業績への寄与もあるかもしれません。そこで、今回はヒアリ関連の企業をピックアップしてみました。

■フマキラー  
家庭用の殺虫剤大手。ヒアリについて、同社が効果試験を海外で実施し、エアゾールの「アリフマキラー」、「アリカダン」、粉剤の「アリ・ムカデ粉剤」、液剤の「巣のアリ退治 液剤」などに効果があったことが確認されたと発表している。神戸市で発見されたヒアリの緊急防除には同社の殺虫剤が使われたとの一部報道もありました。

■アース製薬
殺虫剤首位。会社側では7月に「ヒアリ自体は薬剤抵抗性が特別に強いわけではなく、通常のアリ用殺虫剤でも十分に効果が発揮される」とのリリースを発表しました。その中でエアゾールタイプの「アリエース W」、「アリアースジェット」や液剤タイプの「アリの巣徹底消滅中」、「アリアース速攻液」、粉剤タイプの「虫コロリアース」、毒餌剤の「アリの巣コロリ」などで効果があることを確認しているとしています。

■ティムコ
フィッシング用品の販売や卸業者です。また、直営のアウトドア衣料や用品店も展開しています。注目されるのは、この釣りやアウトドアで使われる防虫ウエアです。ヒアリがどこにいるのかはわかりにくいため、外出用に対応ウエアへの引き合いが増加する可能性があるかもしれません。

■日本ウェーブロックホールディングス  
壁紙、防虫網のトップメーカーです。様々な虫に対して高い忌避効果を発揮する薬剤「エトフェンブロックス」を練りこんだ糸を用いた防虫網を製造。薬剤は気化せず、空気中に漂わないので子供やペットがいても安心して使えるそうです。商品名「虫のイヤがる網」はグループ企業が製造から販売までを行なっている。ヒアリの生息域がさらに拡大した場合、ニーズが高まる可能性があるかもしれません。

■ニックス
工業用ファスナー、ラックなどプラスチック製品を展開しています。注目されるのは環境にやさしい薬剤を練りこんだ防虫忌避プラスチック製品である「ARINIX(アリニックス)」です。防虫忌避とは虫を殺さずに遠ざける防虫法で、用途は食品工場での異物混入や、配線、配電盤への虫侵入による損傷を防ぐことなどです。主に工業用途ですが、ドアや搬送口に使われます。ヒアリの増殖となれば、家庭用にも応用が効くと思われます。

このほか、住友化学 は農薬の大手。グループの住友化学園芸が殺虫剤を追加生産との報道がありました。例年8月は生産していないが、小売店での品薄を受けて決定したということです。

アサンテ は住宅用シロアリ防除のトップ企業です。シロアリの駆除法はヒアリ駆除にも有効。サニックス もシロアリ駆除の大手で、ヒアリの駆除にも役立ちそうです。

和島 英樹