■定年後の働き方の一つ、シニア起業
平均寿命が延び、100歳超えは当たり前の時代に突入しました。サラリーマンが定年を迎える60代は、まだまだ元気。そのせいか、定年後も働き続ける人が増えています。定年後の働き方としては、今まで働いていた会社または他の会社で嘱託やパート、アルバイトとして雇ってもらう形態が多いでしょう。他にも、自分で起業して働き続ける方法もあります。一国一城の主になるわけですね。

最近、定年前後で起業するシニアが増えているようです。そんなシニア起業家の実態を、日本政策金融公庫「シニア起業家の開業〜2012年度「新規開業実態調査」から〜」から探ってみましょう。この調査では、55歳以上で起業する人をシニア起業家と位置づけています。

■現役時代の経験を生かして起業する人が約5割
現在(起業した)の事業に関する仕事の経験年数は、20年以上が47.3%で、長い経験を活かして起業した人が多いことがわかります。一方、未経験分野で起業した人も22.6%いました。中高年になって新しい仕事にチャレンジする人もいるということですね。

起業した業種は、医療・福祉(22.1%)、サービス業(17.9%)、飲食・宿泊業(14.7%)の順です。起業した理由は、「仕事の経験・知識を生かしたい(51.1%)」が最も多く、次いで、「社会の役に立つ仕事がしたかった(36.2%)」、「年齢・性別に関係なく仕事がしたかった(36.2%)」と続きます。開業時の従業員数は平均6人。人を雇うことで雇用対策という社会貢献をしているようです。

■シニア起業の開業資金は平均605万円。融資制度もある
では、シニア起業家たちは、開業資金に準備したお金はどれくらいだったのでしょうか。平均は605万円で、250万円未満が41.9%、1000万円以上が23.7%でした。開業資金は退職金から捻出できるかもしれませんが、もし借り入れをするなら、低利で融資してくれる日本政策金融公庫の「女性、若者/シニア起業家支援資金」を利用するといいでしょう(※一定の要件と審査あり)。

●「女性、若者/シニア起業家支援資金」とは?
【融資を利用できる人】
女性または35歳未満か55歳以上の人で、新たに事業を始める、もしくは事業開始後おおむね7年以内の起業家
【資金の使いみち】
新規事業を始めるため、または事業開始後に必要なお金
【融資限度額】
7200万円。うち運転資金4800万円
【返済期間】
設備資金:20年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金:7年以内(うち据置期間2年以内)

■シニア起業を実現させるには?
シニア起業と言っても、何をしたらいいかわからない人もいるでしょう。そんな人は、「自分の好きなこと」「やりたいこと」「得意なこと」は何かを棚卸して、事業にできそうなことを絞り込んでいくといいでしょう。

頭の中で考えていては、3つの「こと」は、棚卸しできないかもしれません。そんなときは、いろいろな人と話し合う機会をたくさん持ちましょう。すると、「自分はこんなことが好きだったんだ」、「これをやりたいんだ」、「自分はこれが得意だったんだ」といった整理され、事業にできそうなことが見えてくるでしょう。

やりたい事業が見えてきたら、同業の先輩経営者にノウハウを聞いてみる、もしくは公的機関や民間企業で支援事業などの相談窓口に相談してみて、事業計画や資金調達法などを具体化していくといいでしょう。なお、シニア起業は必ず成功するわけではありません。事業で赤字がかさむようなら、廃業する勇気を持つことも大切です。

小川 千尋