■お正月はじっくり親とお金の話をするチャンス
日頃は忙しくしていても、お正月には実家に帰って孫の顔を見せたり、楽しく家族団らんをする方も多いですよね。そんな中、ふと親を見て「年をとったなぁ…」と親の老いを感じることもあると思います。近い将来直面する万が一に備えて、今のうちからできることはしておくといいかもしれません。

万が一に備えるというのは、具体的にどんな内容が含まれるのでしょう。誰もが思いつくのが、葬儀やお墓の準備ですが、寝たきりや要介護になったときの備え、遺産相続に備えた遺言書の作成など、内容は多岐にわたります。それらを一気に準備することはできませんが、親に「これだけは私の願いどおりにしてほしい」と思うことがあれば、その点だけでも準備しておけば、大きな安心感を得られるはずです。

そこでまず、親世代にしてもらうといいのは、「貴重品・重要品のリストアップ」、つまり財産の棚卸しです。預金ならどこの銀行に預けているのか、銀行名や残高などの詳細を明記してもらいます。

生命保険も複数加入しているのか、いつまでの契約なのか、契約内容や受取人、保険金額、保険証書はどこにあるのか、などがわかっている、あるいはどこを見るとわかるのか、把握しておくだけで、随分と万一のときの手間が違ってきます。そういった貴重品・重要品としてリストアップしてもらうといいものには、預金口座、株券などの有価証券、保険、不動産、ローンなどがあります。

■預金口座、有価証券、保険、不動産、ローンの5つをチェック!
預金口座は、どの金融機関にどのくらい預けてあるかを把握しておきましょう。私たちの親の世代の場合、お付き合いで口座を開くということも多く、複数の口座を持っている可能性が高いです。

なかには10年以上取引がされていない、いわゆる「休眠口座」もあるかもしれません。できれば1度すべての口座の通帳の記帳をして、残高を明確にしておいてもらうといいでしょう。使っていない口座の解約をする、つまり預金口座の片付けもしてもらえるとありがたいものです。

次に忘れがちなのが、株券、FX(外国為替証拠金取引)、投資信託といった有価証券です。特に注意すべきなのが株券。上場株式の株券は2009年以降電子化されていますが、電子化前の株式をたとえば、自分が相続した時に名義を書き換えずにそのまま保有しているということがあると、最悪の場合、株主としての権利を失うことあります。

そうした場合は株主名簿管理人である信託銀行に問い合わせをして、まずは名義書き換えをすることが大事です。いずれにせよ、今も株券そのものを所有しているなら、まとめて電子化してしまうのがおすすめ。亡くなった後に損を出す可能性もあるので、元気なうちに売却して現金化してしまうというのも、一つの選択肢です。

生命保険に関しては、まずはどこの保険会社にどんな保障内容で加入しているかと確認するところから、始める必要があります。本人が加入していると思っていても、実は契約が満了しているということもあるかもしれません。ないとは思いますが、手続きをすれば受け取れる年金保険などがないかも、確認したほうがいいポイントです。死亡保障についても、いくらの保障に加入していて、受取人が誰になっているかを知っておく必要があるでしょう。

5つの中でも資産価値が高い不動産は、介護や入院などで大きなお金が必要なときには、資金源として活用することができます。また、2015年から相続税の控除額が大幅に引き下げになったため、不動産の価格次第では、節税を考えなければいけないかもしれません。

特にチェックが必要なのは、誰かと共有名義になっていないかということ。子どもたちは知らなくとも、親から相続をしたときに、兄弟の名義が入っていることもあるかもしれません。特に、親が自分の親から相続した土地や不動産については、あとでトラブルにならないよう、子どもが内容を把握しておく必要があります。

最後に調べておいてほしいのが借金やローン。親のローンはもちろん、親が連帯保証人になっている負債も返済額を把握しておきましょう。家族に内緒で連帯保証人になっていることもありますが、亡くなってから連帯保証人になっていることが判明する事態は何としても避けたいものです。

親の財産については、なかなか子どものほうから聞きにくいもの。しかし、お正月などに集まったときは、チャンスともいえます。兄弟も一緒に集まるなら、事前に話し合いをして、親に財産の棚卸しを頼んでみるのも一つの策ですよ。

酒井 富士子